今週の指標 No.949 目次   前へ   次へ 2010年2月8日

アメリカ:減少するクレジットカードを利用した消費

<ポイント>

  1. 09年12月の消費者信用残高は、前月比年率▲0.8%(前月差▲17億ドル)の2兆4568億ドルとなった(図1)。前月比での減少は11か月連続と、1943年の統計開始以来最長となった。内訳をみると、特にクレジットカードを中心とするリボルビングローンが15か月連続で減少するなど低迷が顕著であり、消費者がクレジットカードの利用を控えていることがうかがえる。

  2. このような傾向は、11〜12月のクリスマス商戦期の消費動向にも現れている。09年の小売売上高が持ち直し傾向を示す一方で、リボルビングローンの減少幅は大幅に拡大していることから、09年のクリスマス商戦期において消費者がクレジットカードの利用を減らしていることが示唆される(注1、図2)。また、クリスマス商戦期における消費者の決済方法をみても、08年以降、利用時に金融機関口座から代金が引き落とされる即時決済型のデビットカードや現金決済の割合が増加している一方で、クレジットカード決済は減少していることが分かる(図3)。

  3. こうした背景としては、まず、依然として失業率が高水準にあり、先行きに対する懸念も根強い中で、消費者が借入を減らして消費を抑制し、過大に抱えた債務の削減を優先的に進めていることが考えられる。また、このような消費者側の要因に加えて、金融機関側では、クレジットカード延滞率の高止まりや個人破産の増加等が続いているため貸出リスクが高くなっていることや、金融機関自体の不良債権によりバランスシートが悪化していることから、融資限度額の引下げや新規発行の絞込み等を実施し、厳格な貸出態度を保持していることも挙げられる(図4、5)。

  4. こうした中、クレジットカードの発行体に対する規制を強化する法律が09年5月に成立し、10年8月にかけて段階的に施行されている(注2)。この法律は消費者保護を目的とし、不当な(unfair)金利引上げ及び支払遅延追徴金の禁止、学生や若年層に対するクレジットカード発行条件の厳格化等を主な柱としている。これにより、不当な慣行の廃止や透明性の向上が期待される反面、融資限度額の引下げや新規発行の絞込み等により、消費者にとっては簡便なクレジットカードへのアクセスが制限される可能性も考えられる(図6)。

  5. 借入による過剰な消費拡大スタイルが修正され、収入に見合う消費を行うようになることは、消費の健全性という観点からみると好ましいことであると言える。他方、クレジットカードはアメリカ社会に広く浸透しており、利便性が高く、高額な財でも分割払いの利用によって購入が容易になるなどのメリットを持つ。こうしたことを踏まえると、クレジットカード利用の減少が消費に与える影響は大きく、今後の消費動向を把握する上で引き続きクレジットカードをめぐる動向には留意していく必要がある。

    (注1)リボルビングローン残高の変動は、当月の新規貸出額から返済額を差引いた純増減額分であることに留意する必要がある。

    (注2)「2009年クレジットカード説明責任、責務及び開示法(Credit Card Accountability, Responsibility and Disclosure Act of 2009)」


図1 消費者信用残高
図2 小売売上高
図3 クリスマス商戦期に最も利用される決済手段
図4 クレジットカードローン延滞率
図5 個人破産の状況
図6 新たなクレジットカード規制法が貸出態度に与える影響

担当:参事官(海外担当)付 熊谷 優子 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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