今週の指標 No.944 目次   前へ   次へ 2009年12月14日

住宅リフォームの動向

<ポイント>

  1. 住宅投資の基礎統計である「建築着工統計」の新設住宅着工戸数の推移(図1)をみると、2007年以降、建築基準法の改正や景気後退などの影響を受けて着工戸数が減少しており、景気が持ち直してきた09年も厳しい雇用・所得環境を背景に大きく減少すると見込まれる。「国民経済計算」における民間住宅投資額の推移をみても、減少が続いている(図2)。こうした住宅投資の低迷の中で、新たに打ち出された経済対策をみると、リフォームの促進にも重点が置かれている(注1)。
  2. 住宅のリフォーム市場をどのような範囲として把握するかについては明確な定義がなく、各種の推計結果に幅がある。平成20年度分から調査結果が公表されている建築物リフォーム・リニューアル調査においては、増築・一部改築・改装等を対象としており、建築着工統計と重複する部分があるものの、リフォーム市場規模を平成20年度分で3.1兆円と推計している(図3)。一方、リフォームの定義や調査対象が異なるなど比較する際には留意が必要であるものの、市場規模が約6兆円になるとの推計もある(注2)。平成20年の民間住宅投資総額が約16兆円であることを考慮すれば、リフォーム市場の動向は無視できないものと考えられる。
  3. ここで、住宅リフォームの内訳を目的別にみると、最も多いのは更新・修繕であり、耐震、省エネ、バリアフリーなどを目的とした工事は比較的少数に留まっていることがわかる(図4)。このうち、省エネルギー対策を目的としたリフォームの普及度合いは、平成20年住宅・土地統計調査速報集計によって住宅ストックの面から確認することができる。すなわち、全国の住宅に占める省エネルギー設備を有している割合は、二重サッシなどの窓の設備が2割程度にのぼるのに対して、太陽光発電機器は1%程度と低い水準にとどまっている(図5)。主に設置の対象となると思われる戸建住宅に限っても、2%に満たない。
  4. 温室効果ガス排出削減のためには、新築住宅への環境対策とともに省エネリフォームが重要になっていくと思われる。また、将来的には省エネ以外の需要もあわせ、住宅リフォームが内需をある程度押し上げていくことも期待される。

    (注1) 「明日の安心と成長のための緊急経済対策(09年12月8日)」では、住宅版エコポイントの対象にエコリフォームを含めている。
    (注2) (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターによる推計では5.97兆円(平成19年度)となっている。また、(社)住宅リフォーム推進協議会による推計では5.9兆円(同)となっている。しかし、それぞれの統計でリフォームの定義、調査対象や標本回収数が異なるため、単純に比較できない。

図1 新設住宅着工戸数の推移
図2 民間住宅投資の推移
図3 平成20年度受注分の住宅リフォーム市場の規模
図4 目的別の住宅リフォーム
図5 住宅ストックの省エネ設備

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付  長谷川 功 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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