今週の指標 No.939 目次   前へ   次へ 2009年11月9日

最近の日本企業の資金調達

<ポイント>

  1. わが国の民間非金融法人の資金調達について、1980年度からの動向を概観すると、90年代初めまで拡大傾向を続けていたが、96年度から借入金を中心に減少に転じている(図1)。この間、社債等の残高には大きな減少が見られず、企業は資金調達における直接金融の比重を高めている(図2)。

  2. 足元の動向をみると、まず、2008年度の借入金は増加している。これは、9月のリーマン・ブラザーズ破綻以降の国際的な金融市場の動揺の下、社債スプレッド(国債利回り対比での上乗せ金利)が急拡大したことに伴い(図3)、低格付け銘柄を中心に社債の発行環境が悪化し(図4)、銀行借入による資金調達に頼らざるを得なくなったためと考えられる。ただ、社債の発行環境は5月以降は改善に向かっており、社債発行額も回復している。

  3. 続いて、エクイティファイナンスの状況を見てみよう。上場企業のエクイティファイナンスは2006年を中心に堅調であったが、株価の下落などを反映して07〜08年には大きな落ち込みを見せた。とりわけ、国内向け増資および新規公開の減少は顕著であった(図5)。09年に入ってからは、国内外向けの増資を中心に急増しているが、資金調達件数は09年も低迷を続けており、1件あたりの調達額が大型化しているのが特徴である(図6)。

  4. こうした増資のかなりの部分を占めているのが、銀行・証券・保険・その他金融業であり(図7)、主として財務体質の強化を目的として巨額の増資が行われていると考えられる。一方、製造業を中心に、新たな投資に充当することを目的に増資を行うケースも出てきている。巨額の増資が株式の需給環境を悪化させる懸念が指摘されているが、増資により得た資金を新たな投資に振り向けることで業績を向上させ、これを通じて企業価値を高めていくといったプラスの面にも注目する必要があろう。

図1 民間非金融法人の資金調達(フロー)
図2 民間非金融法人の金融負債総額と直接金融比率
図3 社債利回りと国債利回りの差(格付別)
図4 格付別社債発行額
図5 上場企業のエクイティファイナンスの状況
図6 規模別資金調達件数の推移
図7 業種別増資等の実績

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 請河 剛志 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ   次へ