今週の指標 No.938 目次   前へ   次へ 2009年11月2日

中国:景気回復を支える堅調な個人消費

<ポイント>

  1. 10月22日に、中国国家統計局が公表した09年7〜9月期の実質GDP成長率は、前年同期比8.9%となり、中国経済は、08年1〜3月期の同6.1%を底に回復傾向が続いている。なお、1〜9月期の累計でみると、同7.7%となっており、今年の成長率目標8%を達成する可能性が高まってきた(図1)。外需の弱い動きが続く中、こうした中国経済の回復を支えているのは、景気刺激策により高い伸びが続く投資と堅調に推移する消費である。ここでは、そのうち、中国の消費動向についてみてみる。

  2. 中国の消費全体を示す指標である「社会商品小売総額」の動きをみると、08年は20%台の高い伸びが続いた後、09年に入り、15%程度へと伸びが低下して推移している(図2)。しかし、09年は原油価格が下落してきたことが名目の伸びを抑える一因となっている。小売物価で実質化してみると、09年は、08年より高めの伸びとなっており、消費は堅調に推移している。

  3. 都市部と農村部を比較すると、従来都市部の消費の伸びが農村部を上回ってきた。しかし、09年に入り、農村部の伸びが都市部を上回る傾向となっている(図3)。09年初から、農村部を対象として、家電購入補助政策(「家電下郷」)が全国的に展開され、自動車の購入補助政策(「汽車下郷」)が実施されている。こうした政策が農村部の消費を下支えしていると考えられる。

  4. また、小売販売額について品目別にみると、自動車の伸びが大きく寄与していることがわかる(図4)。上記の「汽車下郷」に加え、09年1月から、排気量1.6リットル以下の小型乗用車購入の際の車両取得税の引下げ(10%→5%)措置が行われており、これが大きく効を奏しているものとみられる(図5)。加えて、このところ、同政策の対象外である排気量1.6リットル以上の乗用車の販売についても回復がみられ、消費の回復が拡がっていることも窺われる。

  5. 以上のように、消費の堅調な推移の背景として、各種の消費刺激策が自動車を中心に寄与しているものとみられるが、このところ政策の対象外の分野にも回復の動きがみられる。消費の先行きはどうなるであろうか。
    (1)景気刺激策の中の「汽車下郷」及び車両取得税の引下げ措置は本年中に終了予定となっている。現在、消費は自動車の伸びに下支えされているため、消費の伸びはやや減速する可能性がある。しかし、「家電下郷」は4年間継続する予定となっており、このところ農村部の所得が比較的堅調に推移していることもあり、消費を下支えすることが期待される。また、09年半ばから都市部も対象とした家電・自動車の買換補助政策(「以旧換新」)が開始されており、今後その効果が本格化することが期待される。都市部は、社会商品小売総額の約7割(2008年時点)を占めることから、こうした政策や景気回復に伴う都市部の消費の回復は、消費全体の下支え効果が高いと見込まれる。
    (2)消費を巡る環境をみると、雇用については、09年当初、悪化が懸念されており、3月時点で、09年の失業率(都市部のみ)の政府目標は4.6%以内、新規就業者数の目標は900万人とされていた。しかし、実際には、失業率は09年1〜3月期に4.3%に上昇した後横ばいで推移、新規就業者数は9月時点で851万人と発表されている。予想されていたほどの悪化がみられていないことは消費にとってプラス要因である。
    (3)一方、所得動向をみると、都市部の所得が引き続き高い伸びであるものの、鈍化傾向が続いており、消費の抑制要因となり得ることには留意が必要である(図6)。
    以上のように、強弱両方の要因があるものの、総合的に判断すると、(1)、(2)の要因が勝り、消費は当面堅調な推移が続くものと見込まれる。


図1 実質GDP成長率及び需要項目別寄与度
図2 社会商品小売総額の推移(名目・実質)
図3 社会商品小売総額の推移(都市部・農村部)
図4 小売販売額の推移(品目別寄与度)
図5 乗用車販売台数の推移
図6 一人当たり所得の推移

担当:参事官(海外担当)付 高瀬 由希子 直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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