今週の指標 No.933 目次   前へ   次へ 2009年9月24日

電気機器における国際競争力の低下と新興国向け輸出の状況

<ポイント>

  1.  最近の我が国の輸出数量の動向を見ると、2008年9月のリーマンショック以降、米国やドイツに比べて大幅に減少したが、2009年第1四半期を底にアジア向けを中心に反転し、持ち直している(図1)。しかしながら、水準を見ると、2008年平均の7割強にとどまっている。今後の外需動向を考えるため、2002年以降の景気回復局面における主要品目ごとの比較優位の変化を、ドイツと米国と比較しながら分析してみよう。
  2.  貿易総額(輸出+輸入)に占める貿易収支(輸出―輸入)の割合を比較優位指数と定義し、2000年代の変化を見ることとする。まず、輸出入全体については、日本とドイツは輸出超過となっており、米国は輸入超過となっている。さらに主要品目ごとに日本を見ると、食料品や原料品、鉱物性燃料ではドイツや米国に比して低い値となっているが、一般機械や電気機器、輸送用機器ではドイツや米国を上回る水準となっている(図2)。また、輸出シェアについては、3国とも一般機械、電気機器、輸送用機器が相対的に大きいが、3国の中でも日本はこれら機械類の割合が特に高い。
  3.  しかし、輸出シェアが高い一般機械や電気機器、輸送用機器の2000年代における比較優位指数の変化を見ると、日本は一般機械と輸送用機器でほぼ横ばいなのに対し、電気機器については低下しており、国際競争力の低下が示唆される。ドイツについては、電気機器と輸送用機器はほぼ横ばいであるものの、一般機械で上昇するなど競争力の低下は見られない。他方、米国については、輸送用機器で上昇しているものの、一般機械と電気機器では低下している。
  4.  さらに、一般機械、電気機器、輸送用機器のそれぞれにおいて3国で相対的に輸出シェアの高い原動機、半導体等電子部品、自動車について調べよう。日本の動きを見ると、自動車については、米国やEU以外の地域向けに輸出を伸ばすなか、比較優位指数が上昇しているのに対し、原動機や半導体等電子部品の指数が低下している(図3)。
  5.  比較優位指数を改善させる要因としては、輸入の減少も考えられるが、輸出の増加がより注目すべき要因といえる。原動機、半導体等電子部品、自動車の地域別の輸出金額を見ると、原動機とならんで、半導体等電子部品では、自動車に比べ中東やロシア、その他の地域向け輸出割合が小さいものとなっている(図4)。また、アジア向け輸出金額を見ても、 半導体等電子部品は、原動機や自動車に比して伸び率が小さいものとなっており、今後注視していく必要がある(図5)。

日米独の輸出の推移
日米独における比較優位指数の変化(2000、01年と2006、07年の変化)
日米独における比較優位指数の変化(原動機、半導体等電子部品、自動車)
日本における原動機、半導体等電子部品、自動車の地域別輸出金額の変化
日本のアジア向け輸出金額の推移(原動機、半導体等電子部品、自動車)

(備考)
1. 図1:OECD”National Accounts”より作成。実質ベース、季節調整値。
2. 図2、3:財務省「貿易統計」、米国商務省、Eurostatより作成。 比較優位指数については、経済産業省「平成17年版通商白書」をもとに、次式で算出。 比較優位指数=(輸出金額―輸入金額)/(輸出金額+輸入金額)。 財務省「貿易統計」の概況品をベースに品目の範囲を調整し、比較を行った。ただし、6桁まで国際的に共通なHSコードをもとに調整しているため、財務省「貿易統計」における概況品の対象となっているHSコードのうち、9桁部分については米国、ドイツについては含まれていない。2000年と2001年の単純平均と2006年と2007年の単純平均をとり、変化を示している。
3. 図4:財務省「貿易統計」より作成。2000年と2001年の単純平均と2006年と2007年の単純平均をとり、変化を示している。地域の区分については、財務省「貿易統計」に準じている。
4. 図5:財務省「貿易統計」より作成。

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付

   寺岡 亮  直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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