今週の指標 No.930 目次   前へ   次へ 2009年8月31日

40歳代の持ち家世帯率の低下

<ポイント>

  1. 住宅投資の基礎統計である「建築着工統計」の新設住宅着工戸数の推移(図1)をみると、90年以降、振れを伴いながら減少傾向を続けてきた。07年以降は、改正建築基準法施行や景気後退に伴う雇用・所得環境の悪化などの影響を受けたことから着工戸数は一段と減少し、09年(1〜6月の年率換算値)は100万戸を割り込んでいる。こうした中で、住宅のうち、持家および分譲住宅の着工戸数の動向をみても、96年をピークに減少傾向で推移しており、新設住宅着工戸数が減少を続ける一因となっている。
  2. 減少が続く持家および分譲住宅の着工戸数について、7月28日に公表された、総務省「平成20年住宅・土地統計調査速報集計結果」を用いて需要面から傾向を分析する。まず、持ち家世帯率(建築着工統計と定義が異なり、分譲住宅も持ち家に含まれる。注1)をみると、60.9%と、前回調査(平成15年)と同水準となっており(図2)、持家および分譲住宅の着工の減少は、世帯数の増加ペースが鈍っていること(注2)が主たる原因と推測できる。しかし、変化していないように見える持ち家世帯率も詳細にみると変化が生じている。
  3. 家計を主に支える者の年齢層別に持ち家世帯率の変化をみると、持ち家世帯率が高まる40歳代において、前回調査対比では持ち家世帯率の低下がみられる(図3)。そこで、全体の持ち家世帯率の変化を、各年齢層の世帯数変動による要因(年齢層別構成比寄与)と、各年齢層の持ち家世帯率の変動による要因(年齢層別持ち家率寄与)への分解を行った(図4)。まず、年齢層別の構成比寄与をみると、持ち家世帯率の高い50〜54歳の層において、団塊の世代の層が抜けたことによる低下要因がある一方で、持ち家世帯率の低い35歳未満の年齢層の減少および持ち家世帯率の高い60歳以上の年齢層の増加が上昇要因となり、構成比寄与全体としては持ち家世帯率を上昇させる要因となっている。これに対して、年齢層別の持ち家率寄与は、前述のとおり、40歳代を中心に持ち家世帯率を低下させる要因となっている。結果として、全体の持ち家世帯率は横ばいとなっている。
  4. 政府が08年から09年にかけて打ち出した一連の経済対策には、住宅ローン減税の拡充、贈与税の軽減、住宅ローンの借入れ支援等の、住宅取得の支援策も盛り込まれている。今後、これらの政策の効果が40歳代を中心とする持ち家世帯率にどう影響するかが注目される。

    (注1) 持ち家に居住する主世帯の普通世帯に占める割合を「持ち家世帯率」としている。
    (注2) 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、一般世帯は2000年から2005年に228万世帯増加したが、2005年から2010年の間の増加は122万世帯にとどまる見込み。

図1 新設住宅着工戸数の推移
図2 持ち家世帯率の推移
図3 年齢層別持ち家世帯率
図4 持ち家世帯率の変化の寄与分解(2003年→2008年)

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付  長谷川 功 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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