今週の指標 No.920 目次   前へ   次へ 2009年4月20日

アメリカ:歴史的低水準に落込む自動車販売

<ポイント>

  1. 商務省の統計によれば、アメリカの自動車販売台数(注1)は、年換算で1月が954万台、2月が910万台、3月が984万台と3ヶ月連続の1千万台割れが続いており、2月の910万台は81年12月以来の歴史的に低い水準だった。年間販売台数をみてみると、08年は1323万台となり、96年以降続いていた年間1500万台以上の水準を大きく割り込み、07年の1614万台から300万台近くも減少した(図1)。自動車販売台数の大幅な減少の背景にあるのは、07年12月からの景気後退による個人消費の落込みであるが、08年9月に金融危機が顕在化して以降、販売台数の落ち込みが加速している。個人消費の落込みと比較しても自動車販売の減少は著しく、自動車工場の稼働率が09年1月には39.5%まで低下し組立て台数も383万台と統計開始以来最低になるなど、ビッグ3(注2)の経営再建問題を深刻化させる主要因の一つとなっている(図2)。

  2. 自動車販売台数に占めるビッグ3のシェアは毎年低下してきているものの08年でも47.6%あり、ビッグ3の再建問題と自動車販売の動向とは相互に密接に結びついている。再建問題を分離して今後の動向を見通すことは難しいが、ここでは再建問題以外の観点から今後の見通しを概観してみる。まず、マイナス要因としては、(m1)アメリカでは住宅同様にローンを利用して自動車を購入する割合が高いが、個人に対する貸出態度が厳格化した水準にあり(図3)、消費者信用残高が減少するとともに自動車ローンの利用率が低下していること(図4、図5)。(m2)貯蓄率が05年〜07年の平均0.5%から09年には4%台まで急速に上昇しているように、家計における過剰債務を解消しようとする動きがみられること(図4)。(m3)6ヶ月以内の購買マインドを示している消費者信頼感指数の自動車購買計画(注3)は、09年2月には3.9と依然として低水準に留まっていること(図6)。(m4)消費を下支えする雇用者数が大幅に減少していることが指摘できる。

  3. 一方、プラス要因としては、(p1)09年1月まで8%台と高止まっていた自動車ローンの金利が、09年2月には3%台に急低下したこと(図5)。(p2)経済再生・再投資法に新車購入時の州・地方政府の売上税の税額控除が盛り込まれたこと。(p3)自動車メーカーによる販売促進費用の積み増し、等がある。以上のように、政府や自動車メーカーが積極的に施策を打ち立てて一定の効果が出つつあるものの、消費者のマインドが依然低下した状態にあり、自動車販売の本格的な回復には家計消費の回復や個人の信用回復に依存するところが大きく、相当の期間を要すると考えられる。

    (注1)アメリカにおける自動車販売市場は、乗用車市場+ライトトラック市場を指す。
    (注2)ビッグ3とは、GM(ゼネラル・モーターズ)、フォード、クライスラーを指す。
    (注3)自動車購買計画とは、6ヶ月以内に購買を計画している人の全体に対する割合(%)を示す。


図1 自動車販売台数 図2 稼働率(自動車)と自動車組立て台数 図3 金融機関の貸出態度 図4 消費者信用残高(前期差)、貯蓄率と実質個人消費 図5 自動車ローン金利と利用率 図6 消費者信頼感指数

担当:参事官(海外担当)付 丸山 一郎 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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