今週の指標 No.919 目次   前へ   次へ 2009年4月6日

インド:世界金融危機による金融面での直接的な損失は軽微とみられるものの、銀行貸出は減速

<ポイント>

  1. 世界金融危機の影響により、先進国を中心に金融機関のバランスシートが悪化する中、インドの金融機関については、アメリカの証券化商品等のリスク資産をほとんど保有していなかったとみられることなどから、世界金融危機による金融面での直接的な損失は比較的軽微といわれている。

  2. 08年3月時点における国内商業銀行(地方農村銀行除く)の投資資産(総資産の27.2%)の内訳をみると(図1)、投資資産全体のうち大半(78.2%)が安全性の高い政府証券で占められている。この背景の一つには、商業銀行は預金総額のうち24%(09年3月現在)を国債やその他政府指定債券で運用しなければならないという法定流動性比率 (SLR:Statutory Liquidity Ratio)の規制が挙げられる。

  3. 他方で、08年9月の金融危機発生以降、銀行貸出は伸びが著しく鈍化し、11月以降残高はほぼ横ばいで推移している(図2)。これは供給側の要因として、国内経済の一段の減速や先行き不透明感の高まりを受けて銀行が貸出態度を厳格化させていること、バーゼルIIの導入 (09年3月末)を控え、リスク資産の保有額を調節している可能性があることなどが挙げられる。また、需要面からみても、金融危機後は外需の落ち込みなどを受けて企業の生産活動は抑制されており、資金需要が減退するなどの影響が現れている。

  4. こうした状況も踏まえ、インド準備銀行(中央銀行)は、08年10月以降政策金利を相次いで引き下げてはいるものの、商業銀行は高い調達コスト(預金金利)を反映するとともに、貸出について利ざやを確保する観点から、貸出金利を十分に引き下げてこなかった(図3)。銀行セクター別にみると、特に預金基盤の小さい外資系銀行や民間銀行では(図4)貸出金利の引き下げが十分に行われておらず、貸出も09年1月時点で前年に比べて大きく減速している。

  5. ただ、足元の貸出動向をみると、政策金利引き下げ等の効果等もあり、貸出残高に09年2月中旬以降増加の兆しがみられる。しかしながら、今後経済が一段と悪化した場合には資金需要がさらに落ち込み、銀行貸出が一層減速するおそれもあることから、今後の貸出の動向については引き続き注意が必要である。

図1:商業銀行(地方農村銀行除く)の投資資産内訳 図2:商業銀行の貸出動向
図3:貸出金利の動向 図4:預金規模でみた商業銀行のシェア

(備考)
    インド準備銀行、CEICデータより作成。

担当:参事官(海外担当)付 中野 英太郎 直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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