今週の指標 No.917 目次   前へ   次へ 2009年3月30日

地方自治体(都道府県)予算の編成状況

<ポイント>

  1. 都道府県のここ数年の歳出(普通会計)の推移を47都道府県合計(決算ベース)でみると、2003年度以降、歳出規模の縮小が続いている(図1)。08年度(当初予算ベース)でも、行政経費(諸施策の推進に要する経費など)が減少に転じるなど、全体でも1.2%減となり、緊縮型予算の傾向にあった。09年度当初予算案(一般会計)をみると、歳出規模は全体で48兆2,631億円、前年度比0.17%増となっている。歳出の内訳をみると、義務的経費や投資的経費が前年度を下回っているが、行政経費ほかで4.9%増となっている(図2)。
  2. 09年度当初予算の歳出を県別にみると、予算規模が08年度に比べ28の府県で増加しており、とりわけ中小企業向け制度融資枠の拡大や雇用創出、地域活性化事業費などの諸施策を含む『行政経費ほか』が、増加に大きく寄与している。また、予算規模が減少している19都道県でも、2都県を除き『行政経費ほか』が増加している。一方、建設事業費などの『投資的経費』は、08年度補正予算で09年度分事業の前倒しを行っている自治体が多いことを考慮する必要はあるが、09年度に増額編成したのは、13都道府県にとどまっている(図3)。
  3. ここ数年の歳入(普通会計)の推移をみると、『地方税』は、04年度以降、企業業績の回復を背景に増加していた。07年度には、所得税の一部を個人住民税へ振り替える税制改正もあり大きく増加しているが、08年度はほぼ横ばいの地方税収見込みとなっている(図4)。しかし、08年度後半からの急速な企業業績の悪化に伴い、多くの自治体で減額補正されていることから、決算では大幅な減少が予想される。09年度当初予算においても、全体で08年度比16.5%減(図2、注1)と、大幅な減収が見込まれている。また、『地方交付税』については、08年度まで引き続いて減少していたが、09年度当初予算をみると、地方税の減による基準財政収入額の低下や地方財政対策に盛り込まれた「雇用情勢の悪化が急速な自治体へ重点配分される「地域雇用創出推進費」(注2)などにより、08年度比で0.9%の増となっている。
  4. 自治体は、今回の地方税の大幅減に対応するため、主に地方債(23.7%増)や基金からの繰入(23.6%増)による財源確保を図っている。地方債の増加は、地方交付税の振り替えにより発行が認められている臨時財政対策債(注3)の発行を大きく見込んでいるためである。また、基金からの繰り入れは、都道府県の貯金にあたる「財政調整基金」「地方債管理基金」、国の二次補正予算に盛り込まれた「(ふるさと雇用再生特別事業)(緊急雇用創出事業)で自治体が創設した基金」などからの繰入れにより、大きく増加しているが、栃木県や宮城県などでは、09年度末に財政調整基金残高が枯渇する見通しとなっている。
  5. 09年度当初予算の歳入を県別でみると、地方税の減収幅が、愛知県など自動車関連の事業所の集積が比較的高いとみられる自治体で大きくなっている(図5)。愛知県は05年度以来4年ぶりに交付税交付団体となり、また、上記の2基金の取り崩し額は700億円に上る。地方債については、08年度と比べ44都府県で増加し、地方債依存度(歳入に占める地方債の割合)も、神奈川県を除く全ての都道府県で増加している。
  6. 行財政改革による歳出抑制の傾向にあるなか、09年度の当初予算編成は、雇用対策を始めとする地域経済の活性化に資する事業が積極的に編成されている。しかし、事業自体の執行が遅れればその効果も大きく縮小してしまう可能性があり、自治体はこれまで以上に迅速、かつ効率的な事業執行を図る必要があると考えられる。

    (注1)都道府県の一般会計歳入に占める09年度の地方税収割合は、08年度の42.3%から35.2%へ低下した。また、法人事業税の一部国税化(地方税収の偏在性の是正を目的とした08年度地方税制改正により、法人事業税(地方税)の一部を分離し、地方法人特別税(国税)が創設され、09年度から地方法人特別譲与税として都道府県に再配分される)による減収も考慮する必要がある。
    (注2)自治体が雇用に結び付く事業に使うために設けられ、配分は人口規模や有効求人倍率などが算定要件となっている。平成21・22年度で5,000億円が措置される(都道府県枠、市町村枠ともに2,500億円)。
    (注3)地方財政全体の財源不足を補填するために普通交付税の振り替えとして発行される赤字地方債であり、09年度発行見込額は前年度比102.2%増となっている。2001年度から導入され、元利償還費は翌年度以降に地方交付税で補填される(09年度の地方債依存度は、08年度の12.1%から14.9%へ上昇した)。

【図1】 歳出の推移(都道府県)
(性質別寄与度 普通会計)
【図2】 09年度当初予算(都道府県の一般会計の合計)の増減率
【図3】 09年度歳出予算の経費別寄与度
(都道府県 一般会計)
【図4】 歳入の推移(都道府県)
(財源別寄与度 普通会計)
【図5】 09年度歳入予算の財源別寄与度
(都道府県 一般会計)
備考

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 舟山 重信 直通:03-3581-0818

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

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