今週の指標 No.912 目次   前へ   次へ 2009年2月2日

厳しさを増す地域銀行の経営環境

<ポイント>

  1. 株式・為替市場の大きな変動や取引先の業績悪化・倒産等に伴い、金融機関の経営環境は厳しさを増している。08年度中間決算によると全国銀行(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信託銀行等の計124行)は、貸出金償却や貸倒引当金繰入、株式等償却等による経常費用の増加に伴い、07年度決算時には約1割であった経常赤字行が約3割に増加した(表1)。一方、約2割あった増益行は5%程度に減少した。以下では、経常費用増加の一因となった不良債権比率(総与信に占める金融再生法開示債権の割合)の動向に着目して、銀行の経営環境についてみていく。
  2. 2000年以降の銀行の不良債権比率の推移をみると、都市銀行は02年3月期(8.71%)をピークに08年3月期(1.40%)まで低下を続けたが、08年9月期(1.58%)に6年半ぶりに上昇した(図1)。地域銀行(地方銀行と第二地方銀行の合計)についても、02年9月期(8.29%)をピークに08年3月期(3.80%)まで低下を続けたが、08年9月期(3.97%)に上昇した。
  3. 08年9月期の不良債権の内訳を08年3月期と比較してみると、都市銀行は要管理債権の比率が低下したものの、危険債権と破産更生債権及びこれらに準ずる債権(以下、破産更正債権等)が上昇した(図2)。一方、地域銀行は破産更正債権等(+0.18%ポイント)のみが上昇しており、不良債権のうち最も信用リスクの高い債権の比率が高まった。
  4. 地域銀行の不良債権のうち、破産更正債権等の比率を、地域銀行の本店所在地別に11地域に分類してみると、すでに08年9月期において沖縄や南関東を中心に全地域で上昇している(図3)。地域銀行にとって、取引先が経営破たんに至ったケースが増えたことがうかがえる。
  5. 08年10〜12月期の倒産件数は、北陸や北海道など10地域で増加した(図4)。また、08年10〜12月期の手形交換の状況について地域別にみると、不渡手形の割合が北関東では低下したものの、残りの10地域では上昇しており、企業間与信の状況も悪化している(図5)。
  6. こうしたことから、不良債権比率は破産更正債権等を中心に今後更に上昇する可能性があり、地域銀行の08年度決算は中間決算時に出された通期予想よりも厳しい業績になるとみられる。各行の財務体質の悪化に伴う貸出の慎重化が懸念されるが、中小企業経営には地域銀行からの資金供給が重要である。08年10月に政府が緊急保証制度を設けているが、改正金融機能強化法(08年12月17日施行)による資本増強(現在、適用申請を検討中の地域銀行もある)などによる地域銀行自身の経営基盤強化も重要となる。

【表1】表1 全国銀行の経常利益
【図1】不良債権比率の推移
【図2】不良債権別の比率 【図3】地域銀行の破産更正債権等比率
【図4】企業倒産件数(08年10〜12月期) 【図5】手形交換に占める不渡手形の比率(10〜12月期)
備考

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 中 朋生 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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