今週の指標 No.911 目次   前へ   次へ 2009年1月26日

倒産件数の動向

<ポイント>

  1. 2008年の倒産件数は、年初以降増勢を強めた結果、前年から11.0%増加の15,646件となった(図1)。業種別にみると、燃料価格の高騰により運輸業などで倒産が増加したほか、改正建築基準法やサブプライムローン問題等の影響を受けた不動産市況の低迷により建設・不動産業で倒産件数の増加がみられた(図2)。

  2. 資源価格が9月以降下落に転じたことから、資源高を原因とする倒産件数は9月の107件をピークに減少傾向となっている(図3)。しかし最近は、世界的な景気の減速を背景に、売上の減少に直面する中小企業が急増していることが(図4)、倒産件数を押し上げる要因となっている。こうした状況の下、昨年9月以降は製造業の倒産件数が大きく増加するなど(図2)、倒産件数の増加が幅広い業種でみられるようになった。

  3. 今後は、政府の経済対策(セーフティネット貸付、信用保証の拡充)の効果から、倒産件数の増勢は緩和すると期待される(図5、注1)。しかし、中小企業を取り巻く環境は、売上の急速な減少にみられるように、刻一刻と厳しさを増している。さらに、中小企業向け貸出残高が前年から減少しており、資金繰りの悪化している中小企業が増加していることを踏まえると(図6)、経済対策の効果が一巡した後は、企業倒産は再び増加基調を辿る可能性が高い。

  4. なお、2008年の倒産企業の従業員数は、上場企業の倒産が増加していることもあって(注2)前年から24.6%増加しており、倒産の増加が雇用情勢に与える影響にも注意する必要がある。実際に、企業倒産による失業者数には増加の兆しがみられており(図7、注3)、今後の動向が注目される(注4)。

    (注1)経済対策における中小企業資金繰り対策の規模は、セーフティネット貸付が10 兆円(1次補正予算で3兆円、2次補正で7兆円)、信用保証が20兆円(1次補正で6兆円、2次補正で14兆円)である。
    (注2)2008年の上場企業の倒産件数は33件と、2002年の29件を上回り戦後最多となった。
    (注3)倒産の中には再建型の手続きにより事業の継続が図られる場合があるほか、倒産手続きの中で解雇される前に従業員が転職する場合もあるため、倒産企業の従業員が全て失業者になるわけではない。
    (注4)失業者数は、倒産等による新規失業の発生のほか、求人の低迷による新規就業の減少からも増加することに注意する必要がある。

図1:倒産件数の推移
図2:倒産が増加している主な業種
図3:原材料高騰による倒産件数の推移 図4:中小企業の売上判断
図5:緊急保証の承諾実績
図6:中小企業向け貸出の動向
図7:倒産企業の従業員数と企業倒産による失業者数
備考

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 徳田 秀信 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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