今週の指標 No.902 目次   前へ   次へ 2008年10月27日

地域銀行による融資の重要性

<ポイント>

  1. 米国発の金融市場の混乱等に伴い、中小企業向け融資を中心とした金融機関の貸出条件の厳格化が懸念されている。直接金融による資金調達が容易でない企業においては、銀行を始めとした金融機関による融資が大きく経営を左右する。以下では、銀行の国内貸出の動向についてみていく。
  2. 銀行の国内貸出動向(前年同月比)をみると、都市銀行は足もとは6か月連続でわずかに増加となっているものの、07年初めから1年程度は減少であった(図1)。一方、地域銀行(地方銀行と第二地方銀行の合計)は05年3月以降43か月連続で前年を上回っている。都市銀行の国内貸出が伸び悩むなか、地域銀行の国内貸出の増加が続いた結果、銀行全体における国内貸出シェアも07年3月以降地域銀行が都市銀行を上回っており、間接金融市場における地域銀行の役割が拡大している(図2)。
  3. また、07年度の国内貸出金残高をみると、中小企業等向けが都市銀行では前年割れとなった一方、地域銀行では前年を上回った。07年度の中小企業等貸出金は地域銀行が都市銀行を約18兆円上回っており、中小企業への資金供給者として大きな役割を担っている(図3)。
  4. 地域銀行を本店所在地別に11地域に分類し、貸出残高をみると、07年度の貸出は、近畿や中国等の5地域で伸びは鈍化したものの、東北や九州等の6地域でプラス幅が拡大するなど全地域で前年を上回った(図4)。一方、地域銀行の貸出のうち中小企業等向けについては、プラス幅が拡大した地域は沖縄と北海道の2地域のみで、中国や四国等で減少に転じたことから6地域で前年割れとなった(図5)。各地域の地域銀行が貸出全体の増勢を維持したなか、中小企業等向けについては慎重化した地域があったとうかがえる。
  5. 足もとの中小企業向け貸出動向(前年同月比)をみると、12か月連続で前年割れとなった(図6)また、日銀短観の中小企業の資金繰り判断DIも08年9月調査が5期連続の悪化となっており、販売不振等により中小企業の資金繰りはますます厳しくなっている(図7)。
  6. 企業業績の悪化や金融市場の混乱等金融機関を取り巻く環境は厳しいものの、中小企業の資金繰り改善には資金供給の主要な担い手である地域銀行の役割が重要である。

【図1】銀行の国内貸出の寄与度分解(末残、前年同月比)
【図2】都市銀行と地域銀行の国内貸出シェア(末残) 【図3】都市銀行と地域銀行の国内貸出金額
【図4】地域銀行の国内貸出残高(前年比) 【図5】地域銀行の中小企業等貸出残高(前年比)
【図6】国内銀行の中小企業向け貸出残高(末残、前年同月比) 【図7】日銀短観:資金繰り判断DI
備考

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 中 朋生 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ   次へ