今週の指標 No.900 目次   前へ   次へ 2008年10月6日

アメリカ:住宅市場の地域別動向

<ポイント>

  1. アメリカでは住宅部門の調整が続いており、2008年7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)は前年同期比で16.35%の下落と過去最大の落ち込みを記録した。しかし、価格の動きを地域別にみると、その動向は地域によって大きく異なっており、00年以降に住宅価格の急上昇と急下降を経験した都市では足元前年同月比で30%近い下落が続く一方で、価格変化が少なかった都市では、足元前月比で価格が上昇している都市もみられる。
  2. ピーク時の数値が上位及び下位の各都市について、2000年以降の住宅価格指数の上昇率と、各都市が属する州の1人当たり可処分所得の上昇率を比較すると、価格上昇が著しかったフロリダ、カリフォルニア、ネバダ州においては価格の伸びが所得の伸びを著しく上回っており、消費者の所得状況と大きく乖離した住宅価格の高騰が発生したことが分かる(図1(1))。一方、住宅価格があまり上昇していない州については、住宅価格の伸びは所得の伸びと同程度にとどまっている(図1(2))。
  3. さらに州別の住宅差押えの動向を重ねてみると、住宅価格上昇の著しかった都市が属する州では差押え比率の上昇が顕著である(図2)。これは住宅価格上昇期に急拡大した住宅ローンが、その後の大幅な住宅価格の下落に伴いサブプライムローンを中心に大量に債務不履行に陥ったことによるものとみられる。
  4. 中古住宅の州別販売動向をみると、高水準にあった住宅価格が急落して値ごろ感が出てきたため、カリフォルニアやフロリダ、ネバダ州においては、2007年末以降順次回復の動きが出てきている(図3)。しかし、需要には持ち直しの動きが出てきているものの、差押えによる中古住宅の供給が需要の伸び以上に急増しており、需給のバランスは引き続き悪化している。
  5. こうした状況を踏まえると、中古住宅価格の先行きについては差押えの動向が鍵を握っていると考えられる。借換え時期を迎えるサブプライム住宅ローンの金額が2008年にピークとなることに加え、サブプライム以外のローンについても差押えが増加してきていることから(図4)、中古住宅市場においては販売を上回る在庫の増加がしばらく続くと予想される。特に、サブプライム問題の影響が大きいカリフォルニアやフロリダ州等においてはこの傾向が強いことから、価格の底打ちには今しばらく時間を要するとみられる。

図1 S&Pケース・シラー住宅価格指数と一人当たり可処分所得の推移
図2 州別の住宅差押え比率
図3 州別の中古住宅販売件数の推移
図4 全米における期中差押え開始物件の比率

(備考)
1. 図1 Standard and Poor's社、経済分析局より作成。
2. 図2 センサス局、Realty Trac社より作成。
       2008年8月中の差押え率(何件毎に1件の差押えがあったか)を示す。
3. 図3 全米不動産協会より作成。
4. 図4 抵当貸付銀行協会より作成。

担当:参事官(海外担当)付 熊谷 優子 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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