今週の指標 No.899 目次   前へ   次へ 2008年9月29日

対ロシア輸出にみる地域の動き

<ポイント>

  1. 我が国の対ロシア輸出の推移をみると、ここ数年高い伸びが続き、2007年は前年比54.1%増、2008年上半期においても前年同期比49.0%増となっている(図1)。この結果、対ロシア輸出額は、02年から07年までの5年間で約11倍となり、我が国の輸出先国としてロシアは、02年の31位から07年には14位と大幅に順位を上げている。
  2. こうした対ロ輸出の急増は、経済成長の著しいロシアの購買力の高まりを背景に輸送用機械の輸出が好調であることによる(図2)。対ロ輸出の輸送用機械の内訳をみると、自動車がその98%を占めている。さらに、自動車輸出の内訳を詳しくみると、金額ベースでは乗用車(新車)が66%を占めているが、数量ベースでは乗用車(中古車)の占める割合が乗用車(新車)を上回り5割強となっている(図3)。なお、我が国の中古乗用車の輸出は、ロシアが最大の輸出先となっている(表1)。
  3. 次に、ロシアへの乗用車輸出の積出港をみると、新車と中古車で傾向が異なる。新車については、組立工場に近い港からの輸出が見受けられるが、中古車については上位5港のうち4港が日本海側であり、1位の伏木港(富山)、2位の富山港からの中古車輸出額の合計が対ロ中古車輸出全体の約4割を占める(表2)。伏木・富山港における、対ロシア中古乗用車輸出額の推移をみると、02年の42億円から、07年には955億円と、20倍超とここ数年で大幅に伸びている(図4)。こうした影響もあり、富山県の自動車卸売業は、01年から06年で事業所数が16.3%増、従業員数は20.4%増と、全国と比較しても増加幅が大きくなっている(表3)。
  4. 伏木・富山港が、ロシアへの中古車輸出を伸ばしている背景には、日本海側というメリットに加え、ロシアからの原木輸入の定期航路が従来よりあったことや、ウラジオストック港との友好港の提携などの地理的・歴史的要因がある。さらには、国際海上輸送の拠点である特定重要港湾として、大型船舶に対応可能な外港多目的国際ターミナルの06年の完成等のインフラ整備や、地元自治体や財界等の協力体制の下でのポートセールス(注)が行われていることがある。こうした様々な取組は、対ロ輸出だけでなくロシア以外の国とも国際物流の面での同港の重要度を高めている(図5、6)。
  5. 本年7月には東海北陸自動車道が全線開通し、富山県西部を起点に北陸と中京間の輸送時間が短縮されたことで、東海地方の企業が、ロシア、韓国等に向けて船便で輸出する際、名古屋港よりも伏木・富山港経由の方が輸送日数が少なくて済むようになった。さらに、10月には伏木・富山港とロシア沿海のボストーチヌイ港との定期コンテナ路線が月1便から2便に増便予定であり、伏木・富山港の物流拠点としての重要性の高まりやそれに伴う周辺地域への企業進出が期待される。日本海側というロシアや韓国に近い地の利を活かした地域の取組に今後も注目したい。
    (注)船会社や荷主等を対象とした説明会の開催や、各種航路の誘致など、当該港湾の利用を働きかけるセールス活動

【図1】対ロシアの輸出入額の推移 【図2】対ロシア輸出額の内訳
【図3】対ロシア自動車輸出の内訳
(うち配偶者なし、07年)
【表1】中古自動車輸出先(上位10国)(平成19年) 【表2】対ロシア輸出 主要輸出港(平成19年)
【図4】伏木・富山港 対ロシア中古自動車輸出額の推移
【表3】事業所数と従業者数(上段が富山、下段が全国)
【図5】伏木・富山港 輸出入額の推移

(備考)
1.図1〜6、表1〜2  財務省「貿易統計」より作成。
2.表3           総務省および富山県「事業所・企業統計調査」より作成。

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 植田 リカ 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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