今週の指標 No.895 目次   前へ   次へ 2008年9月8日

公共工事受注額の最近の動向

<ポイント>

  1. 公共投資に関する指標を見ると、公共工事請負金額、公共工事出来高はここ数年減少が続いているが、公共工事受注額については2007年度以降前年度を上回る動きを見せている。特に大手50社の2008年4月から7月の受注額は前年比35.4%と大幅なプラスになっている(図1)。公共投資関連予算が減少している中でこのような結果が生じている背景について考察する。
  2. 公共工事請負金額は複数年度にわたる工事が発注された場合、当該年度に行われる工事に相当する金額が計上されるのに対して、公共工事受注額(大手50社受注額を含む)は複数年度にわたる工事についても契約時に全契約額が計上されるため、工期が長期間にわたる大規模工事が増加すると、この指標の金額は大きくなる傾向がある(図2)。2007年度の公共工事について見ると、大規模工事(10億円以上の工事)の受注額は前年度に比べ増加していることが分かる(図3)。受注額全体の増加に対する大規模工事の寄与度は10.6%となっており(図3)、大規模工事の増加が受注額を押し上げたことが考えられる。こうした傾向は2008年度に入っても継続しており、4月から7月の寄与度は37.2%に達している。
  3. また、2007年度の工事発注者別増加率を見ると、独立行政法人及び政府関連企業等の伸びが大きくなっており(図4)、さらに独立行政法人及び政府関連企業等が発注した工事の工事種類別寄与度を見ると、道路、医療・福祉施設、鉄道等の寄与が大きい(図5)。2007年度は高速道路関連工事や病院関連工事及び新幹線関連工事等で大規模な工事が発注されており、こうした工事が公共工事受注額(大手50社受注額を含む)の増加をもたらした可能性がある。
  4. 工事の進捗状況を表す公共工事出来高は減少しており(図1)、公共投資は全体としては減少傾向といえるが、今後の動向については注視する必要がある。

図1 公共投資に関する指標の推移(前年比)
図2 公共工事受注額と公共工事請負金額との計上額の相違
図3 大規模工事(10億円以上)受注額の前年比及び受注額の増減に対する寄与度
図4 受注額における発注者別増加率(2007年度)
図5 独立行政法人・政府関連企業等からの受注工事における種類別寄与度(2007年度)



(備考)
1.図1は国土交通省「建設工事受注動態統計」(公共工事受注額)、「建設工事受注動態統計(大手50社)」(大手50社受注額)、「建設総合統計」(公共工事出来高)、東日本建設業保証株式会社他「公共工事前払金保証統計」(公共工事請負金額)により作成。
 公共工事出来高は「建設工事受注動態統計」、「建築着工統計」を用いて出来高ベースに換算した統計であるため、受注ベースである他の3つの指標とは性格が異なる。
2.図1及び図3の2008年度数値は、4月から7月までの前年度実績値に対する増加率による。なお、図1の公共工事受注額、公共工事出来高は4月から6月までの実績による。
3.図2は同一の工事についても公共工事受注額(大手50社受注額を含む)と公共工事請負金額で計上される金額に違いがあることを示したもの。例の場合、公共工事受注額は契約が締結された年度にのみ全契約額(10億円)が計上されるのに対して、公共工事請負金額は工事が行われる3年間にわたり、1年目には4億円、2,3年目にはそれぞれ3億円が計上される。
4.図3から図5は国土交通省「建設工事受注動態統計(大手50社)」により作成。

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 本間 和人 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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