今週の指標 No.894 目次   前へ   次へ 2008年9月1日

アメリカ:低迷が続く自動車販売

<ポイント>

  1. 商務省発表の統計によれば、7月のアメリカの自動車販売台数(注1)は、年換算で1250万台と1993年3月以来の低い水準となった(図1)。アメリカの景気減速による個人消費の冷え込みや7月初めに1ガロンあたり4.11ドル(注2)まで上昇したガソリン高による影響が主な要因とみられ、これまでのところ戻し減税による効果もみられていない。燃費効率が比較的低いライトトラック(注3)については、03年をピークに販売台数が減少する傾向にあったが、さらに最近のガソリン価格急騰により08年3月には乗用車の販売台数を下回った(図2)。他方、小型車を得意とする日本車が08年以降急速に販売シェアを伸ばし、7月時点においてビッグ3(注4)のシェアを初めて上回った(図3)。

  2. このような中で、自動車メーカー各社は、生産体制の再編成や割引販売の実施により販売台数の回復を目指している。大型車重視であったビッグ3は小型車へのシフトや工場閉鎖・雇用調整を実施し、日本メーカーも大型車の減産及び小型車の増産を進めている。こうした動きもあり、自動車・部品関連産業に従事する雇用者数は、07年3月から連続して減少しており、07年3月から08年7月までの間に合計11.7万人減と約12%減少している(図4)。

  3. 自動車販売は、アメリカの耐久財消費の約4割を占めるなど個人消費に与える影響も大きい。以下、今後の見通しを検討する。第一に、コンファレンス・ボードの7月の消費者信頼感指数は51.9と16年ぶりの水準まで下げ、同時に発表された自動車購買計画(注5)も07年11月以来の5.0と3ヶ月連続低下した。8月には消費者信頼感指数が56.9、自動車購買計画が5.3とやや改善したものの、購買意欲は低い水準にある(図5)。第二に、7月の生産者物価指数(PPI)をみると、乗用車価格は前年同月比で+3.1%と6ヶ月連続プラスで推移している。自動車部品をはじめとするコアPPI(中間財)(注6)の上昇が川下の自動車製品価格へ波及しているものと考えられ、価格上昇が更なる購買意欲の減退につながる懸念がある(図6)。第三に、07年1月以来の住宅価格の下落が消費者ローンの担保価値の目減りを通して、個人消費全体を縮小させていることがあげられる。ガソリン価格は、足下で3.6ドル台まで下落しているものの、以上のように総じていえば、今後の家計消費全体の動向に依存する部分が大きいと考えられる。

    (注1)アメリカにおける自動車販売市場は、乗用車市場+ライトトラック市場を指す。
    (注2)1ガロン=約3.8リットル。
    (注3)ライトトラックとは、ミニバンやSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)を含む総量14,000ポンド(約7t)までのトラックの総称。
    (注4)ビッグ3とは、GM(ゼネラル・モーターズ)、フォード、クライスラーを指す。
    (注5)自動車購買計画とは、6ヶ月以内に購買を計画している人の全体に対する割合(%)を示す。
    (注6)コアPPIは、エネルギー・食料品を除いたPPI。


図1 自動車販売台数とガソリン価格 図2 乗用車とライトトラック販売台数 図3 アメリカの自動車販売におけるシェア 図4 非農業雇用者数と自動車・部品雇用者数 図5 消費者信頼感指数 図6 生産者物価指数


(備考)
アメリカ商務省、労働省、オートデータ、コンファレンス・ボード、ブルームバーグ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)により作成。

担当:参事官(海外担当)付 丸山 一郎 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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