今週の指標 No.879 目次   前へ   次へ 2008年6月2日

地域別にみる企業の景況感とその影響

<ポイント>

  1. 各地域の企業の景況感は足もとで悪化傾向にあるが、その度合いは地域ごとにばらつきがある。以下では、地域別の景況感とその影響について分析する。
  2. 日本銀行各支店で公表している「企業短期経済観測調査(以下、短観)」の08年3月調査の業況判断DIを前年同期と比べてみると、全地域で低下しているものの、低下幅にばらつきがみられる(図1)。大半の地域で▲10〜▲15%ポイント程度低下しているなか、四国の低下幅が比較的小さくとどまっているのが目立つ。
  3. 企業の景況感悪化の一因として、原油・原材料などの仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できず、収益が圧迫されていることが考えられる。仕入価格判断DIと販売価格判断DIの差(以下、価格判断ギャップ)を地域ごとにみると、前年に比べ全ての地域で価格判断ギャップは拡大しているが、四国、中国、近畿の価格判断ギャップ拡大幅は他地域に比べ小さくなっている(図2)。
  4. 業種別で価格判断ギャップをみると、鉄鋼、紙・パルプ、化学などの素材業種では水準が低く、拡大幅も比較的小さいため、これら業種の企業では価格転嫁がより進んでいると考えられる(図3)。紙・パルプは四国の主要産業であるほか、鉄鋼は中国、近畿で、化学は3地域ともにウエイトが大きいので、この3地域の価格判断ギャップの拡大幅も比較的小さくなっていると考えられる。
  5. こうした各地域の景況感の悪化は、設備投資計画の慎重化につながっていると考えられる。07年度の設備投資実績見込みは多くの地域で前年比2桁増となっているが、08年3月調査では前回12月の調査から、東北、中国以外の地域で下方修正となった(図4)。
  6. これは各地域の生産にも影響を及ぼしていると考えられる。08年1-3月期について各地域のIIPの前期比をみると、多くの地域で一般機械がマイナスに寄与している(図5)。その中でも、半導体製造装置や産業用ロボットなど設備投資向けの産業用機械関連品目がマイナスとなっている。
  7. 景況感の悪化等による企業の慎重な姿勢は、生産や設備投資など各方面へ影響を及ぼすことで域内の景気を更に押し下げる懸念がある。今後、各地域の産業構造を踏まえつつ、企業部門の動向に注視していく必要がある。

【図1】08年3月調査の業況判断DI
前年同期差(製造業、全規模) 【図2】地域別仕入と販売の価格判断DIの差
(製造業、全規模)
【図3】業種別仕入と販売の価格判断DIの差
(製造業、全規模) 【図4】07年度設備投資実績見込みと
前回調査からの修正率(製造業)
【図5】08年1-3月期 業種別IIP増減寄与度
(備考)

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 柿澤 佑一朗 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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