今週の指標 No.872 目次   前へ   次へ 2008年4月21日

原材料費の増加が企業収益を圧迫

<ポイント>

  1. これまで改善を続けてきた企業収益は、最近では弱含みとなっている。先日公表された日銀短観(3月調査)をみると、2007年度の経常利益は前年度比1.6%の減益が見込まれている(図1)。

  2. 企業収益に弱さがみられる背景としては、原油・原材料などの仕入価格の上昇を販売価格に転嫁することが困難であり、収益環境が悪化していることが考えられる。日銀短観の仕入価格判断DI、販売価格判断DIをみると、特に中小企業において、販売価格の上昇が仕入価格の上昇に追いついておらず、企業収益が圧迫されていることが示唆される(図2)。

  3. 製造業の売上高に占める各費用の比率の変化(前年度との差)をみると、大企業、中小企業ともに人件費やその他固定費の比率が低下又は小幅上昇で推移する中、原材料費(※)の比率はここ数年一貫して上昇している(図3)。
    次に、原材料費要因による利益の押下げ幅を規模別、業種別にみると、いずれの業種においても、大企業に比べて売上高経常利益率が相対的に低い中小企業の方が企業収益の減少に与える影響が大きい(図4)。製造業の中では、加工業種に比べて原材料費率の上昇幅が相対的に大きい素材業種において、原材料費要因による収益押下げが目立っている。

  4. 以上みてきたような原材料費の増加に加え、円高や売上高の伸び悩み等によって、昨年まで好調さを持続していた企業部門はこれまでに比べ厳しい状況に置かれている。景気回復が足踏み状態にある中、今後の企業部門の動向が注目される。

    ※ 日銀短観において実績係数及び計画係数を調査している材料費を用いた。製造業及び一部の非製造業の材料費、外注費、燃料費が含まれている。

図1 経常利益の年度計画の推移
図2 仕入価格判断DI、販売価格判断DIの推移
図3 売上高に対する各費用等の比率の変化
図4 原材料費要因による経常利益の押下げ幅(2007年度見込み)

(備考)
1.日本銀行「全国企業短期経済観測調査」により作成。
2.前年度比は前年度実績からの増減率。ただし3月調査については前年度実績見込みからの増減率(図1)。
3.大企業は資本金10億円以上、中小企業は資本金2千万円〜1億円未満(図2〜4)。
4.日銀短観は2007年3月調査から調査対象企業の見直しを行っている。このため、2006年度については前年度比が公表値と一致するよう実額の調整を行っている(図3)。
5.各費用の比率は以下の方法により算出した(図3)。
  人件費率=人件費/売上高
  その他固定費率=(減価償却費+金融費用)/売上高
  原材料費率=原材料費/売上高
6.原材料費要因による経常利益の押下げ幅は以下の方法により算出した(図4)。
  π:経常利益
  S:売上高
  RM:原材料費率
  として、
  原材料費要因:S×ΔRM/π-1
7.非製造業の原材料費は、建設、運輸、電気・ガス、鉱業の合計(図4)。

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 迎 堅太郎 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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