今週の指標 No.868 目次   前へ  次へ 2008年3月24日

「家計の金融資産に関する世論調査」の結果から見られる金融資産の状況について

<ポイント>

  1. 本年2月27日に金融広報中央委員会から平成19年の「家計の金融行動に関する世論調査」の結果が公表された。平成18年まで単身世帯を含む全世帯を対象に行われていた「家計の金融資産に関する世論調査」を、二人以上世帯の調査と単身世帯の調査を別調査として集計するなど、一部見直したものである。そこで、見直しの影響を考えてみたい。
  2. まず、一世帯あたりの金融資産の保有額を比較すると、二人以上世帯は平均1259万円、単身世帯は724万円となっている(図1)。二人以上世帯の保有額が高い理由として、世帯人員が増えるほど稼ぎ手の数が増え保有額が多くなることが考えられるが、全国消費実態調査によれば、必ずしも世帯人員が多いほど貯蓄現在高が高いわけではない(図2)。一方、本調査で世帯主の年齢分布の違いをみると(図3)、単身世帯では20〜30代の世帯が57%を占めるのに対し、二人以上世帯では50代以上の世帯が64%を占めている。これが金融資産の保有額に大きく影響していると考えられる。すなわち、一般に若年層ほど貯蓄額は少なくなるとみられるため、その割合が高い単身世帯の平均保有額が相対的に低いと考えられる。実際、調査方法は異なるが、詳細結果が公表されている平成18年調査をみると、年齢が低いほど保有額が少なくなっている(図4)。
  3. さらに、金融資産の商品別構成比をみると、例えば「預貯金」は二人以上世帯では40%に対して単身世帯34%、「生命保険、簡易保険」は二人以上世帯では16%に対して単身世帯9%と、こういった商品は先ほども指摘した年齢分布の影響(図4)を受けていると思われる。対して「債券」、「株式」、「投資信託」といった有価証券では、二人以上世帯では合計18%だが単身世帯では合計36%と、単身世帯の方が高い値を示している(図5)。こうした差には、年齢分布の違いに加え、調査方法の違いが影響している可能性がある。そこで、この4年間の調査を比較してみると、調査方法が同じ平成16年〜18年の単身世帯の有価証券の保有額はそれぞれ48万円、45万円、44万円と目立った違いがみられないが、調査方法を変更した平成19年には259万円と大きく変化している(図6)。今回の調査においては、二人以上世帯では訪問と郵送の複合・選択式によって調査し、単身世帯ではインターネットモニター調査を採用しているが、平成16年〜18年の調査においては、単身世帯を含む全世帯において訪問留置法によっていた。インターネットモニターの特性として比較的保守的な人が少なく、リスクのある有価証券に対する警戒感が低いことも考えられる。全世帯で趨勢的に有価証券の比率が高まっている傾向はあるが、特に単身世帯での変化が大きいことを考慮すると、インターネットモニター調査を採用した影響も考えられるため、調査の連続性には留意が必要である。


    ※調査員が対象者を訪問して調査票を渡して記入を以来し、一定期間後に再び調査員が対象者を訪問して記入済みの調査結果を回収する調査方法。一般的に、郵送やインターネットの調査に比べて回収率を上げることができる。

図1 金融資産の世帯別平均保有額
図2 世帯人員別貯蓄現在高(全消、平成16年)
図3 調査世帯別の世帯主の年齢分布の違い
図4 世帯主の年齢階級別金融資産平均保有額(平成18年調査、全世帯)
図5 平均金融商品別構成比
図6 金融商品別平均保有額の推移
備考

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 佐藤 有平 直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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