今週の指標 No.856 目次   前へ   次へ 2008年1月28日

円高局面における東海地域の経済

<ポイント>

  1. 県内総生産に占める輸出比率が全国で最も高い東海地域(図1)では、自動車などの輸出関連産業を中心に生産、輸出ともに堅調な増加を続けている(07年10月の鉱工業生産は過去最高水準を記録)。輸出額をみると、04年後半の円高局面では一時的に落ち込んでいる一方で、このところの円高局面では、むしろその額を伸ばしている(11月の輸出額は前年同月比8.0%増(05年2月以降34か月連続の増)の1兆8,426億円と、11月としては過去最高を記録)。ここではその背景について、輸出の側面からみていきたい。
  2. まず、名古屋税関における輸出金額の伸び率を国別にみると、米国向けはこのところ伸び悩んでいるものの、アジア向け、中東向けが増加基調にある。特にアジア向けは07年5月以降米国向けを上回って推移している。このように、米国向けの落ち込みを他国がカバーしていることが、円高局面における輸出金額の増加に寄与している可能性がある(図3)。
  3. 次に、品目別にみると、主な輸出品目である自動車、一般機械、電気機械のいずれも、増加基調にあり(図4)、競争力のある高付加価値製品の輸出が各地域向けに好調であることも、輸出金額の増加に寄与している可能性がある。なかでも、自動車の中東向け輸出額の割合(直近3か月平均)は1年前と比べて13.4%と、5ポイント以上伸張している(図5)。
  4. 今後を展望すると、大手工作機械メーカー(愛知)からのヒアリングでは、今後の受注見通しについて「米国経済や株安、為替の動向は不安要素ではあるが、アジア、欧州等、外需を中心に伸びていく」といった強気なコメントが聞かれているなど、輸出の堅調さが続く可能性がある。ただし、内閣府「景気ウォッチャー調査」によると「自動車製造業はこれまで輸出に支えられてきたが、円高で為替差損が生じつつある(東海=輸送用機械器具製造業)」といった、円高を懸念するコメントも散見されており、今後の動向をきめ細かくみていく必要がある。

【図1】地域別の輸出比率(06年度) 【図2】東海地域(名古屋税関管内)の輸出金額と円ドル相場
【図3】国別輸出金額の推移(名古屋税関管内) 【図4】品目別輸出金額の推移(名古屋税関管内)
【図5】自動車の国別輸出額シェア(名古屋税関管内、%)
備考

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 井戸 孝明 直通:03-3581-0818

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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