今週の指標 No.855 目次   前へ   次へ 2008年1月21日

低い率にとどまった2007年度のベースアップと2008年度労使交渉の見通し

<ポイント>

  1. 先月(07年12月)厚生労働省より発表された「平成19年賃金引上げ等の実態に関する調査」*1によると、2007年にベースアップ(「賃金改善」を含む*2、以下同様)を行った企業割合(定期昇給制度のある企業に限る。これは全サンプルのうち73.6%を占める。)は23.5%となった(図1)。前年より+7.7%ptと大幅に上昇したものの、水準は依然として低く、企業の賃金抑制姿勢が低水準のベースアップとして現れている(なお、定期昇給を行った企業割合は90.5%)。

  2. 次に、定期昇給とベースアップに分けて賃金引上げ額を集計している労務行政研究所「2007年度モデル賃金・年収調査」*1をみると、2007年の賃金引上げ率は平均で1.90%(賃金引上げ額は5824円)となった。しかし、大部分は定期昇給分(1.76%、定期昇給額は5397円)であり、ベースアップに相当する部分は0.11%(ベースアップ額は337円)にすぎない*3(図2)。平均賃金に影響するのは主にベースアップ部分であるが、このようなベースアップ率の低さを踏まえると、その平均賃金押上げ効果は小さかったと考えられる。

  3. 2008年度労使交渉に向けて、連合は2007年度同様2500円以上の賃金改善を要求している(表1)。また、日本経団連も各企業の体力に応じた賃上げ容認姿勢を示している。しかし、上述したベースアップの動向が急激に変化するとは考えにくく、また、団塊世代の退職や非正規雇用の増加も続いているため、賃金の上昇は依然として緩やかなものにとどまると見込まれる。

    (*1)本稿で利用する統計の調査対象は、1)厚生労働省「平成19年賃金引上げ等の実態に関する調査」では、製造業及び卸売・小売業については常用労働者30人以上、その他の産業については常用労働者100人以上を雇用する企業のうちから産業別及び企業規模別に抽出した3,181社。2)労務行政研究所「2007年度モデル賃金・年収調査」では、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3,900社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)349社の合計4,249社。

    (*2)厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」及び労務行政研究所「モデル賃金・年収調査」の「ベースアップ」には、賃金カーブを一律に引き上げる従来のベースアップだけでなく、若年層などに重点配分を行う「賃金改善」も含んでいる。一方、労働組合の発表資料や新聞報道などでは、「賃金改善」を「ベースアップ」から差別化した概念として用いている。

    (*3)「定期昇給、ベースアップ」と「賃上げ合計額」とは集計(回答)企業が一致しないため、定期昇給とベースアップを足しても賃上げ合計額とは一致しない。

図1.定期昇給・ベースアップを実施した企業割合、図2.賃上げ率の内訳の時系列推移 表1.2008年度春季労使交渉に向けた各労働組合の動向

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 徳田 秀信 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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