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<ポイント>
- 11月19日に発表されたシンガポールの2007年7-9月期の実質GDP成長率は前年比8.9%となり、引き続き景気が拡大していることが示された(図1)。07年に入ってからの需要項目別寄与度をみると、民間消費や建設投資、設備投資といった内需が景気をけん引している。民間消費は、失業率が98年以来約10年ぶりの低水準(図2)となるなど、良好な雇用環境の下での所得の伸びを背景に増加している。建設投資は、09年、10年に開設予定の2つのカジノ併設型総合リゾート開発(*1)に関連した建設や金融機関等のオフィス建設等が増加している。また、外需は7-9月期の成長を押し上げたが、これは昨年の反動による影響もあり、化学製品等非電子製品関連の輸出は増加しているものの、主要輸出品目の電子製品では依然として弱い動きとなっている。
- 一方、物価動向をみると、7-9月期の消費者物価上昇率は前年比2.7%となり、4-6月期の同1.0%から大幅に上昇した(図3)。シンガポール通貨庁(MAS)は07年下半期以降の物価上昇のうち、半分程度は07年7月の商品・サービス税(GST)の引上げ(*2)によるものの、国内経済が好調である中、オフィス賃料や賃金等のビジネスコストの上昇が川下の小売価格まで転嫁されてきていることも影響していると指摘している(図4)。さらに国際的な原油・食品価格の上昇により、物価上昇圧力が高まったとして、MASは10月、物価見通しを引き上げるとともに、「緩やかかつ段階的な」自国通貨高政策の下で通貨高の速度を若干速め、金融政策を引き締める姿勢をみせた(*3)。
- 先行きについて、政府は引き続き堅調な建設投資等内需が成長をけん引し、07年通年のGDP成長率は7.5〜8%になると見通している。一方で、物価上昇圧力は国内の労働市場のひっ迫や国外の原油・食品価格の上昇等から今後も持続するとみられている。政府は国際競争力強化のため、法人税を20%から18%へ引き下げることを発表しているが(*4)、このところのビジネスコストの上昇は、国際的な競争力低下へつながるとの懸念も出ており、シンガポールの景気拡大の持続性をみる上で物価の動向も注視していく必要があろう。
*1 観光庁は05年に「ツーリズム2015」において観光収入を15年までに04年の3倍とするなどの観光振興戦略を発表した。総合リゾート開発もその一環として既に一部で建設が始まっている。 *2 Goods and Service Taxは、94年4月より導入された消費税で、将来の歳出増に備えるため07年7月1日より現在の5%から7%へ引き上げられた。シンガポールで消費される全ての商品及びサービスが課税対象となる。 *3 シンガポールは経済活動における貿易のウエイトが高いため、金利よりも為替レートの方が物価への感応度が高いという考えに基づき、金融政策の指標として金利ではなく為替レート(名目実効為替レート)を用いている。今回、「緩やかかつ段階的な」レート高政策を維持するものの、その誘導目標の傾きを金融引締め方向に若干引き上げることを発表した("MAS Monetary Policy Statement"07年10月)。また、07年の物価見通しは4月「0.5%から1.5%」を「1.5%から2.0%」とした。 *4 07年3月、法人税を08年賦課年度(07年中に終了した事業年度の所得が対象)より現在の20%から18%へ引き下げることが議決された。
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