今週の指標 No.843 目次   前へ  次へ 2007年11月5日

非製造業の設備投資の動き

<ポイント>

  1. 非製造業の設備投資は、法人企業統計季報でみると2007年4-6月期に前期比▲16.4%減と大幅に減少した一方で(図1)、日銀短観の07年度計画では前年度比+3.8%の増加が見込まれており、実績と年度計画に異なる動きがみられる。以下では、設備投資と関係が深いと考えられる指標として企業の設備過剰感、キャッシュフロー、総資本経常利益率、インタレスト・カバレッジ・レシオ(※)等に注目し、非製造業の設備投資の動向についてみていくこととする。

  2. 非製造業における設備過剰感や企業収益等の設備投資への影響をみるため、1期前の設備過剰感(日銀短観の設備判断DI)、1期前の総資本経常利益率と長期金利(長期国債(10年物)新発債の流通利回り)の差(以下「投資環境指数」という)、1期前のキャッシュフローの前期比、1期前のインタレスト・カバレッジ・レシオの前期比をそれぞれ説明変数として設備投資の増加率(前期比)を推計した。推計結果によると、設備過剰感は設備投資の増加にマイナスに、キャッシュフローの増加率、投資環境指数、インタレスト・カバレッジ・レシオの上昇率はプラスにいずれも有意に寄与している(表1)。この推計結果と実績の動きを比較すると、足元を除いて両者はおおむね整合的な動きをしている(図2)。

  3. 推計結果によると、今回の景気回復局面のうち、04年度の非製造業の設備投資の伸びについては、キャッシュフローの高い伸びとインタレスト・カバレッジ・レシオの改善が設備投資の増加を促したものと考えられる。また、06年度の伸びついては、設備過剰感が改善する中、キャッシュフローが増加するとともに、良好な投資環境が持続したことによるものと推察される(図3)。

  4. 07年度からはキャッシュフローの増加による寄与は弱まっているものの、設備過剰感が解消するとともに、引き続き良好な投資環境が持続している。非製造業の設備投資の先行きについては、これらの要因を考慮すると、06年度よりも緩やかになるものの引き続き増加する環境にあるものと判断される。

    ※ 企業の借入金等の利息の支払い能力を測るための指標。年間の事業利益が、支払利息等の何倍であるかを示す。

図1 設備投資の動向
表1 非製造業の設備投資と各種関連指標の関係
図2 非製造業の設備投資の推計結果
図3 推計結果の寄与度分解

(備考)
1.財務省「法人企業統計季報」、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、内閣府「景気動向指数」により作成。
2.図1、図2の設備投資(実績値)はソフトウェアを除く設備投資(季節調整値、4四半期移動平均)の前期比。
3.図1、図2のシャドー部は景気後退期。
4.表1はソフトウェアを除く設備投資(季節調整値、4四半期移動平均)の前期比を被説明変数、1期前の設備過剰感(4四半期移動平均)、1期前のキャッシュフロー(4四半期移動平均)の前期比、1期前の投資環境指数(4四半期移動平均)、1期前のインタレスト・カバレッジ・レシオ(4四半期移動平均)の前期比を説明変数として回帰したときのそれぞれの係数。( )内はt値。***は1%水準、**は5%水準で有意であることを示す。
5.キャッシュフローは以下の式により算出。季節調整値。 経常利益×0.5+減価償却費
6.投資環境指数は以下の式により算出。 総資本経常利益率(季節調整値)−長期国債(10年物)新発債の流通利回り(四半期平均)
7.インタレスト・カバレッジ・レシオは以下の式により算出。季節調整値。 ((営業利益+受取利息等)/支払利息等)×100

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 迎 堅太郎 直通:03‐3581‐0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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