今週の指標 No.842 目次   前へ   次へ 2007年11月5日

耐久財消費に影響を及ぼす諸要因(所得・資産・住宅投資など)

<ポイント>

  1. 耐久財の消費に影響を及ぼす要因は多々あるが、代表的なものとしては、(1)所得、(2)金融資産残高、(3)相対価格、(4)耐久財ストック、(5)実質金利、(6)住宅投資等が挙げられる。これらの要因は、過去30年程度を振り返ってみると、耐久財消費と安定的な相関関係が確認できる。ただし、05年以降についてはこの安定的な関係に変化がみられ、実績値が推計値よりも下振れ、両者の乖離が拡大している(図1)。ちなみに、当てはまりの良かった03〜04年と、乖離の拡がった05〜06年を比較してみると、その大きな違いは、05年以降、所得要因と金融資産要因が推計値では大きくプラスに寄与しているにも関わらず、実績値では耐久財消費の押し上げにつながっていないとみられる点にある(図2)。

  2. この背景として、所得(雇用者数×一人当たり実質賃金)については、その増加が雇用者数の増加を主体とするものであり、賃金の寄与が小さいことが指摘できる(図3左)。耐久財消費は賃金に対する弾力性が高い(注)ため、雇用者数中心の所得増では、耐久財消費増につながりにくいとみられる。また、金融資産については、このところの増加が、主として株式の評価益によるものであり、株式相場に応じて変動しやすいことから恒常所得と捉えられていないため、耐久財消費増につながりにくい可能性がある(図3右)。したがって、今後、耐久財の消費がかつてのように増加していくためには、所得については一人当たり賃金の安定的増加、金融資産については預貯金等を含めて残高が簿価ベースで安定的に増加することが望まれる。ただし、金融資産の残高の増加もそのベースとなる所得の増加や金利の上昇などが伴わなければ大きく増えにくい点には留意を要する。

  3. なお、耐久財消費を先行き押し下げる要因としては、6月の建築基準法改正の影響などもあって、7月以降、住宅着工戸数が急速に減少している点が挙げられる(図4)。民間住宅投資は7−9月期以降、着工の減少に伴い減少に向かう可能性が高いが、その場合、GDPの押し下げ要因になるだけでなく、家電、家具、自動車などの民間住宅投資と関連の深い耐久財消費の減少も加わり、影響が増幅するリスクもある(ただし、耐久財消費の民間住宅投資に対する弾力性は0.14程度)。耐久財消費は個人消費の1割程度を占め、変動の大きさから個人消費の方向性にも影響を及ぼすため、今後その動向を注意深く見守っていくことが必要である。

    (注)今週の指標No.796参照(http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2007/0402/796.html)

図1 耐久財消費の実績値と推計値
図2 耐久財消費の変動の寄与度分解
図3 雇用者報酬と家計金融資産の分解
図4 住宅着工戸数・民間住宅投資・耐久財消費の推移

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 渡辺 浩志 直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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