今週の指標 No.841 目次   前へ  次へ 2007年10月29日

インド:拡大する資本流入

<ポイント>

  1. インドは03年以降7%を超える高成長を続けている(図1)。こうした中、インドへの資本流入も拡大しており(図2)、06年の資本収支黒字は前年に比べて約1.7倍と顕著な伸びをみせ(※注1)、07年も上半期で既に06年の8割超の黒字を計上している。内訳をみると、高成長が続くインドへの投資意欲の高まりにより、海外からの直接投資、証券投資が年々増加しているが、06年以降は、特に直接投資が大幅に増加したことに加え、対外商業借入(※注2)等のその他資本流入も 急速に増加している。

  2. 経済の高成長や資本流入の拡大を受け、インド通貨ルピーは、02年半ば以降上昇基調にあり、06年後半からはさらに上昇ペースを速め、約9年ぶりに1ドル=40ルピーを切る水準になっている(図3)。また、代表的な株価指数であるSENSEXは03年以降上昇を始め07年10月15日には、03年初から5倍超、07年初からも約37%高い19058.7という史上最高値を記録した。(図4)。

  3. 金融政策をみると、インド準備銀行(中央銀行)は、インフレ率が上昇した04年に引き締めスタンスに転じ、05年以降引き締めのペースを加速させている(図5)(※注3)。これら金利引上げ等の効果もあり、足元ではWPIは中銀が中期的に目指す水準を下回る4%以下で落ち着いている(図6)。また中銀はこのところ、各企業(外資企業含む)の海外からの資金借入の上限の引下げ(5億ドル→2,000万ドル)や、国内企業や個人の海外投資枠の拡大等といった資本取引規制の変更を行っている。この政策変更の背景としては、これまでの利上げが対外商業借入を急増させ、ルピー高につながってきた面もあることから、ルピー高による輸出産業への影響等に配慮しているとの見方もある。いずれにせよ、こうした政策変更がインドの資本収支ひいてはインド経済に与える影響等について今後注視していきたい。

    (※注1) 00〜05年の年平均伸び率は、17%程度。
    (※注2) 海外の銀行からの借り入れや海外での社債発行等のうち、平均借入期間が3年以上のものを指す。
    (※注3) 中銀は、07年度のヘッドラインインフレーション(=WPI(卸売物価指数))の伸びを前年比5%以下に
         抑制することを政策的優先事項とし、中期的には、4.0〜4.5%の水準にまでWPIの伸びを抑制するとし
         ている。また、中銀が発表した最新の金融政策報告「First Quarter Review of Annual Statement on
         Monetary Policy for the Year 2007-08」(07年7月31日)においても、上記のスタンスを継続することを
         表明している。

図1:実質GDP伸び率
図2:資本収支の推移 図3:インド・ルピーの対米ドルレート 図4:SENSEX30種株価指数 図5:政策金利の推移 図6:卸売物価指数(WPI)上昇率
(備考)
インド準備銀行、ジェトロ、CEICデータ、ブルームバーグより作成。

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   野口 美雪  直通:03-3581-9537
   中野 英太郎  直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ  次へ