今週の指標 No.840 目次   前へ  次へ 2007年10月22日

景況感の弱さが続く中小企業

<ポイント>

  1. 2007年10月公表の日銀短観では、大企業と中堅・中小企業の景況感の差が拡大するといった結果が出たが、中小企業について、より調査カバレッジの広い(注1)、「中小企業景況調査」(中小企業基盤整備機構)の2007年7−9月期調査結果をみても、中小企業の業況判断DI(前期比、季調値) (注2)は6期連続でマイナス幅が拡大し、7−9月期は▲23.6と05年7−9月期以来の低い水準となった(図表1)。中小企業の業況判断を業種別にみると(図表1)、製造業は06年10―12月期よりマイナス幅が拡大しており、非製造業では、小売業、サービス業は横ばい推移ながらも、建設業、卸売業でマイナス幅が大きく拡大している。

  2. 中小企業の業況判断(前期比、季調値)を地域別にみると、7−9月期は多くの地域で前期に比して業況感が悪化する結果となった(図表2)。全国データでマイナス幅の拡大が続いている製造業について地域別にみると、7−9月期は前期に比して、中国、四国で低下するほか、マイナス幅が相対的に小さい中部、近畿での悪化が目立っており、今後の動きが気になるところである(図表3)。

  3. 中小企業の景況感が悪化している背景としては、原材料価格の上昇を販売価格に転嫁しにくい点が考えられるが、「中小企業景況調査」においても、原材料仕入単価DI(「上昇」−「低下」)の上昇テンポに比して、売上単価DI(「上昇」−「低下」)のマイナス幅縮小のテンポは緩やかであり、両者のかい離幅は今次景気回復局面において最大となった。中小企業(製造業)が経営上の問題点として挙げる項目をみても、4−6月期調査では「原材料価格の上昇」が第1位となっている(図表4)。

    また、地域別の動きについては、データの利用が可能な近畿地域及び京都府・滋賀県の日銀各支店公表の短観調査結果をみると、販売価格判断DI(「上昇」−「下落」)がやや改善しつつあるものの、仕入価格判断DI(「上昇」−「下落」)は高まる傾向がみられる(図表5)。

  4. 景気ウォッチャー調査におけるコメント(現状判断、9月)をみると、「原材料は値上げされたが販売価格に転嫁できず、受注量、販売量共に増加していない(東海=パルプ・紙・紙加工品製造業)」、「綿糸などの原材料費や外注加工費が高騰しており、収益環境はより厳しくなっている。販売価格への転嫁が必要不可欠であるものの、容易ではない(近畿=繊維工業)」等、価格転嫁の難しさを挙げるコメントが散見された。中小企業の業況は地域の経済動向に与える影響も大きく、今後の動向について引き続き注視していくことが必要である。

  5. (注1)中小企業基本法の定義に従った中小企業約19,000社に対して調査しており、小規模企業も含め短観に比してサンプル数が多い。
    (注2)(前期と比べて)「好転」と回答した比率−「悪化」と回答した比率

図1 業種別にみた中小企業の業況判断
図2 地域別にみた中小企業の業況感(全産業) 図3 地域別にみた中小企業の業況感(製造業)
図4 中小企業が直面している経営上の問題点(製造業)
図5 中小企業の価格判断DI(日銀短観)

(備考)
図表1〜4:中小企業庁・中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」より作成。(図表2、3の九州地域は沖縄も含む)

図表5:日銀及び日銀各支店「短観」より作成。

担当:参事官(経済財政分析−地域担当)付 池本 靖子 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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