今週の指標 No.837 目次   前へ   次へ 2007年10月15日

地域別にみる改正建築基準法の影響

<ポイント>

  1. 耐震偽装の再発防止のため、建築確認の審査を厳しくした改正建築基準法が6月20日に施行された。しかし、申請手控えや審査の長期化など、現場の混乱が広がったと言われている。以下では、改正建築基準法の影響について明らかにする。
  2. 7・8月の新設住宅着工戸数をみると、全地域で大幅に前年を下回っている(図1)。特に沖縄の減少が目立つが、これは前年の大幅増加の反動と、沖縄では建築確認審査に比較的時間が掛かる鉄筋コンクリート造の割合が大きいことが影響していると考えられる(図2)。利用関係別でみると、全地域で「持家」「貸家」が大きくマイナスに寄与している(図3)。南関東・近畿・中国・四国・九州では分譲マンションのマイナス寄与もみられる。今回の改正で、一定の高さ以上等の建築物(高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建築物など)に、第三者機関による構造審査が義務付けられた。比較的小型の建築物である分譲一戸建住宅に比べて、大型の建築物の多い貸家や分譲マンションの方が、前年比の落ち込みが大きくなっている。
  3. また、建築着工床面積(非居住)をみてみると、6月の「駆け込み需要」から一転して、7・8月は全地域で大幅に前年を下回っており、今回の改正が各企業の建設投資に遅れをもたらすことが懸念される(図4)。
  4. 9月の景気ウォッチャー調査では、建築基準法改正に伴う建設単価の上昇や建築確認の認可に時間が掛かり、経営に影響しているという声が寄せられた(図5)。先行きについても、当分の間、着工作業に大幅な遅れが生じることを懸念するコメントがみられる。
  5. 改正建築基準法の円滑な施行についての周知が進めば、全体の状況は徐々に回復していくものと思われる。引き続き、今後の動向に注視する必要がある。

図1 新設住宅着工戸数 図2 新設住宅着工戸数に占める鉄筋コンクリート造の割合
図3 新設住宅着工戸数(07年7・8月の平均) 図4 建築着工床面積(非居住)
図5 景気ウォッチャー調査(9月調査)にみられた建築基準法改正の影響

(備考)
図1〜3 国土交通省「住宅着工統計」より作成。
図4 国土交通省「建築着工統計」より作成。
図5 内閣府「景気ウォッチャー調査(9月調査)」より作成。

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 柿澤 佑一朗 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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