今週の指標 No.832 目次   前へ  次へ 2007年9月18日

タイ:弱い動きが続くタイ経済の現状と今後の見通し

<ポイント>

  1. タイの07年4〜6月期の実質GDP成長率は、前年同期比4.4%となった(図1)。需要項目別の寄与度をみると、好調な輸出と予算成立後の政府支出増(※1)が成長を下支えした。一方、民需については、政情不安や政府の経済政策の方向性が不透明であること等から消費者、企業の景況感が悪化する中(図2)、民間消費及び民間投資がともに停滞したため、民需の成長率への寄与度は0.3%と弱いものになった。

  2. また金融政策の動向をみると、タイ中央銀行は原油高に伴う物価上昇を抑制するため06年6月まで継続的に政策金利を引き上げてきたが、07年に入って物価上昇率の低下と内需の減速を背景に、累計で5回の利下げを実施している(図3)。

  3. 政府、中銀及び民間シンクタンクの予測では、07年下期に消費と投資が回復するとの予想から07年通年の経済成長率は概ね4%台を維持するとの見方が多い(※2)。これは、政策金利引き下げの効果等に加え、8月19日に国民投票により新憲法が承認され、12月23日に総選挙が実施される運びとなり、暫定政権からの民政復帰に向けた政情の安定化がプラス要因になると期待されているためである。ただし、バーツ高(図4)の輸出への影響、外国人投資家に対する規制強化、アメリカのサブプライム住宅ローン問題の影響等の懸念要因もあるため、タイの景気動向は予断を許さない状況が続くといえよう。

    (※1)政府支出は、政府消費と公的投資を合計したもの。07年度予算(注:タイの会計年度は10月〜9月)は、06年9月の政変以降成立が遅れていたが、12月27日に成立し執行が開始され始めた。
    (※2)タイ国家経済社会開発委員会(NESDB)4.0〜4.5%、タイ中央銀行4.0〜5.0%、民間シンクタンク予測(エコノミスト平均)4.2%

図1:実質GDP成長率と需要項目別寄与度 図2:消費者信頼感指数と企業景況感指数 図3:政策金利とコアCPIの推移 図4:バーツの推移
(備考)
1.タイ国家経済社会開発委員会(NESDB)、タイ中央銀行、ブルームバーグ等より作成。
2.消費者信頼感指数は100を基準とし、基準を超えると「改善」、下回ると「悪化」、基準値の時は「安定」とされる。また、企業景況感指数は50を基準とし、基準を超えると「良い」、下回ると「悪い」、基準値の時は「平均」とされる。
3.タイの政策金利は07年1月17日より翌日物レポ金利(従来は14日物)。
4.タイ中央銀行は、消費者物価上昇率から生鮮食料品・エネルギーを除いたコアCPI上昇率を0.0〜3.5%の間で推移させるという、インフレーション目標を採用している。

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   野口 美雪  直通:03-3581-9537
   前田 篤紀  直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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