今週の指標 No.826 目次   前へ   次へ 2007年8月27日

金利の上昇が家計の預金・借入行動に与える影響

<ポイント>

  1. 2006年7月にゼロ金利が解除され1年が経過した。市場金利が緩やかに上昇するとともに、家計が直面する定期預金金利や住宅ローン金利も緩やかに上昇してきた(注)(図1)。こうした金利の上昇が、家計の預金・借入行動にどのような影響を与えたかについて振り返る。
  2. 国内銀行における預金全体の伸び率と金融商品ごとの寄与度をみると、ゼロ金利解除後、定期預金金利の上昇に伴い、普通預金から定期預金へのシフトが進んできたことがうかがえる(図2)。預金者別預金額の推移をみると、ゼロ金利解除後、個人は普通預金から定期預金へとシフトしているが、一般法人は、ゼロ金利解除前の量的緩和政策解除(2006年3月)を境に、定期預金へのシフトを進めており、一般法人の方が金融環境の変化により敏感に反応していると考えられる(図3)。
  3. 定期預金を預け入れ期間別にみると、「1ヶ月以上1年未満」「1年以上2年未満」といった短期型の定期預金が増加している。一方で「5年以上6年未満」といった長期型は減少している。(図4)今後の金利上昇を見込んで、長期型で金利を固定することに慎重になっている様子がうかがえる。
  4. 他方、住宅ローンの借入についてみると、2006年度上期の残高は、固定2年型や3年型が減少する一方で、固定10年型や全期間固定型といった長期型が増加している(図5)。借入においては、金利上昇を見込んで、低金利のもとで金利を固定しておきたいといった行動がみられる。
  5. このように、家計は預金や借入をするにあたって、足下までの金利上昇だけでなく将来の金利上昇を見込んで、リスクを減少させリターンを増加させようと行動をとってきたことがうかがえる。
    (注)住宅ローン金利については、短期金利の上昇を受けて固定2年型の住宅ローン金利などで上昇がみられる一方、安定的な長期金利の動きを映じて固定10年型はおおむね横ばい圏での動きとなっている。

図1.金利の動向
図2.国内銀行における預金の伸び率と寄与度
図3.預金者別の預金の推移
図4.定期預金の残高(期間別)の推移
図5.個人向け住宅ローンの新規貸出額(金利タイプ別)の割合の推移

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 小田 晋一郎 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

目次   前へ   次へ