今週の指標 No.824 目次   前へ   次へ 2007年8月20日

国際市況の影響を受けにくい日本の食料価格

<ポイント>

  1. 世界的な食料需要の増加や原油価格の上昇を背景に、国際的に農産物価格が上昇している。日本では、食料の多くを輸入に頼っている(2006年度の食料自給率はカロリーベースで39%、生産額ベースで68%)が、穀物を中心とした農産物の輸入価格が上昇するとともに(注1)輸入金額も増加しており(図1)、国内の食料価格の上昇が懸念されている。
  2. そこで食料価格について日米欧で比較してみると、欧米の食料価格は国際農産物市況の影響を受けやすい一方(図2-(2))、日本の食料価格(国内の天候の影響を受けやすい生鮮食品を除く)は国際市況にはそれほど影響を受けていない。足元でも、欧米に比べて上昇率が低い(図2-(1))。
  3. この背景をみると、欧米では、国際商品市場で取引される穀物や穀物を飼料として大量に利用する畜産品(肉、乳卵製品)のウェイトが大きく、それらが食料価格の上昇に寄与している一方、日本ではそれらの寄与は小さい(図3-(1)、(2))。これに加え、日本の主要穀物である米についてはほぼ自給しており、米価も2003年の不作で上昇したものの、緩やかな下落基調となっている(図3-(3))(注2)
  4. また、日本が大きく輸入に頼っている農産物にも、価格安定のための制度がある。例えば、輸入とうもろこしを主原料とする配合飼料は、飼料価格の大幅上昇にもかかわらず、配合飼料価格安定制度(注3)により、畜産経営者の実質負担価格の上昇は今のところ抑えられている(図4-(1))。小麦についても、政府による輸入後に民間業者に売り渡す価格は、輸入価格の上昇に連動して直ちに上昇するわけではない(図4-(2))。このような制度により、輸入価格上昇の影響が現時点では緩和されていると考えられる。
  5. 以上のように、日本の食料価格は国際市況の影響を受けにくいものの、食料は国民生活に直結するものであり、今後ともその動向には注意が必要である。

    (注1)ここでは触れていないが輸入価格上昇の要因には為替の円安効果もある。
    (注2)なお、このように食料価格が欧米と比較して低い伸び率で推移した結果、諸外国との内外価格差は縮小傾向にある(付図)。
    (注3)図4備考を参照。

図1 農水産物輸入価格と輸入金額
図2 日本と諸外国の食料CPIと国際市況
図3 各国食料CPI
図4 価格安定制度による価格上昇の影響緩和
付図 食料の内外価格差

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付

   井上 崇  直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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