今週の指標 No.822 目次   前へ  次へ 2007年8月6日

アメリカ:在庫の積み上がりにより調整局面が続く住宅部門

<ポイント>

  1. アメリカの07年4−6月期の実質GDP成長率(速報値)は外需や政府支出等に支えられて前期比年率3.4%増となった。他方、住宅投資は同9.3%減と5四半期連続の減少となった(図1)。
  2. GDP統計における住宅投資の先行指標となる住宅着工の動向をみると、07年6月は前月比2.3%増の146.7万件となり、年初にかけて減少したものの140万件台半ば前後で推移している(図2)。また、四半期では07年4−6月期前期比0.1%増と微増ながらも5四半期ぶりの増加となり、住宅着工でみる限り、06年以降の明確な減少傾向からこのところ下げ止まりのような動きとなっている。
  3. しかし、住宅着工の先行指標となる着工許可件数をみると、6月は前月比7.0%減の141.3万件と97年6月以来の低水準(前掲図2)となっている。需要の動向をみると、減少が続いてきた住宅販売は、6月は新築で前月比6.6%減の年率換算83.4万件、中古で前月比3.8%減の同575万件となっており(図3)、モーゲージローン金利の上昇や、サブプライムローン(注)の延滞率上昇(図5)によるローン貸出基準の厳格化の動き等の影響もあり、このところも引き続き弱い動きが続いている。
  4. さらに、供給側をみても住宅在庫は住宅販売不調の影響などから高水準で積み上がっており(図4)、仮に住宅販売が回復したとしても、ある程度の期間は積み上がった在庫の調整のため住宅建設活動は抑制されると見込まれることから、住宅部門の調整は今後も続くことが考えられる。
  5. また、先行きを見通す上で考えられるリスクとして、03年から05年にかけて急増したサブプライムローンの中には、今後、当初の低い金利から高い変動金利に移行する案件も多いと考えられ、それにより延滞や差押え件数がさらに増加する懸念が指摘されている(図5、6)。その場合には差押え物件が住宅市場に積み上がり、住宅在庫の削減ペースを鈍らせる可能性も考えられ、住宅市場の動向には引き続き注視していく必要がある。

    (注)サブプライムローンとは信用力の比較的低い債務者向け住宅ローンであり、定義は各社によって異なるが、少数派人種や高齢退職者など所得水準の低い債務者向けが多いとされている。またサブプライムローンの大半はARM(adjustable-rate mortgages)と呼ばれる変動金利型のものが占めており、当初2、3年の金利を5〜6%程度の低水準に設定し、残りの年数は10%超の金利へと変動するようなものが多いとされている。これに対し、相対的に信用力の高い層向けの住宅ローンはプライムローンと呼ばれる。

図1 実質GDP成長率(前期比年率)
図2 住宅着工・許可件数
図3 住宅販売件数(年率換算) 図4 住宅在庫件数
図5 モーゲージローン延滞率 図6 差押え率(期中開始分)

(備考)
アメリカ商務省、米国抵当貸付銀行協会(MBA)、全米不動産業者協会(NAR)より作成。

担当:参事官(海外担当)付 松本 洋平 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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