今週の指標 No.813 目次   前へ  次へ 2007年6月25日

ドイツ:拡大するEU新規加盟国との貿易

<ポイント>

  1. ドイツでは企業部門を中心に景気が回復している。2006年の経済成長率は2.8%となり、2000年以来の高成長となった(図表1)。世界的な景気回復を背景として、資本財を中心に輸出が増加し、06年の外需の寄与度は1.2%と05年の0.4%から高まった。06年の名目GDPに対する輸出の比率も44.9%と05年の40.9%に比べ大幅に上昇した。経常収支を見ると、サービス収支や移転収支、所得収支は振れはあるものの寄与度としては相対的に小さく、貿易収支が経常収支の動きを決める大きな要因となっている(図表2)。
  2. 貿易収支黒字変化の地域別の寄与度を見ると、04年のEU新規加盟10カ国(注1)の寄与が大きくなっている(図表3)。また、06年の実績で見ると、これら新規加盟国との貿易金額(輸出入含む)は06年のドイツの貿易金額全体の10.1%を占め、アメリカとの貿易金額を3割上回り、中国との貿易金額の2倍、日本との貿易金額の4倍の規模である。ドイツと04年のEU新規加盟10カ国との貿易財の商品構成は、輸出入とも食料・エネルギーを除く中間財が過半を占めている(図表4)。また、ドイツ経済技術省が指摘しているように、経済のキャッチアップ局面で需要が拡大する高付加価値の資本財が輸出の20%弱を占めている。これらの背景としては、ドイツからこれら新規加盟国への対外直接投資残高が03年末時点で296億ユーロ(EU15カ国からこれら新規加盟国への対外直接投資残高の約24%)に上り、国際競争力強化や地理的な近さを背景としてドイツの企業が生産工程をEU新規加盟国や加盟候補国を中心に域内及び周辺地域に分散させてきたことが挙げられる。
  3. 通貨ユーロは、07年4月に約2年半ぶりに対ドルでユーロ導入以来の最高値を更新し、さらに対円での最高値を更新し続けるなど、欧州中央銀行(ECB)発表のユーロ圏の実効為替レート(EER)は名目/実質とも過去最高水準にある。ただし、名目EER12と名目EER24(注2)を比較すると、05年後半以降はEER24の方が低い水準に留まっており、さらに貿易ウェイトから推測される04年と07年のEU新規加盟国(07年1月から通貨ユーロに参加したスロベニアを除く)との名目EERは、一時的な変動はあるものの、04年以降、低下傾向にある(図表5)。実際、好調な経済を背景にポーランドズロチやチェココルナは、03年末と07年5月を比較すると、対ユーロでそれぞれ約17%と約12%増価した(図表6)。このような状況もこれら新規加盟国との貿易が拡大する要因となっていると考えられる。
  4. 現在、EUの拡大が引き続き推進される一方で、EU域内の統合深化もこれまで以上に重視されている。上記の貿易財の商品構成や為替の動き、統合深化の動きを踏まえると、04年と07年のEU新規加盟国との貿易は今後さらに拡大が見込まれる。

    (注1)04年5月にキプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ポーランド、スロベニア、ラトビア、リトアニア、マルタ、スロバキアの中・東欧10カ国がEUに新規加盟し、EUはこれら10カ国を加えた25カ国体制となった。07年1月にはブルガリアとルーマニアが新規加盟し、27カ国体制となった。現在、クロアチアやトルコなどが加盟交渉を行っている。

    (注2)名目EER12/名目EER24ともECBの定義であり、名目EER12は主要貿易先12カ国との名目EER、名目EER24は名目EER12対象国+04年と07年のEU新規加盟国(スロベニアを除く)+中国との名目EERを示す。ECBではぞれぞれ貿易の約60%と約75%をカバーしているとしている。

図表1 実質GDP
図表2 経常収支内訳(名目値/季節調整値)
図表3 貿易収支黒字変化の地域別寄与
図表4 EU新規加盟国との貿易の内訳
図表5 名目実効為替レート
図表6 通貨ユーロに対する主要通貨の動き

(備考)
(出所)ドイツ連銀、ドイツ連邦統計局、欧州中央銀行、EUROSTAT、Datastream。

担当:参事官(経済財政分析−海外担当)付 山本 知範 直通:03-3581-0056

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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