今週の指標 No.810 目次   前へ  次へ 2007年6月11日

中国:不動産投資はこのところ再び伸びが高まっている

<ポイント>

  1. 中国では、2007年に入り金融引締め策を中心としたマクロコントロール (※注1) の強化が図られている。5月18日には、中国人民銀行は流動性管理を強化し、融資と投資の伸びを合理的な伸びに抑制し、物価の基本的安定を維持することを目的として、07年に入り2度目となる貸出基準金利の引上げ及び同5回目となる預金準備率の引上げ等を公表した(図1)。

  2. この一つの背景として、固定資産投資(都市部)の伸びが、06年後半以降やや鈍化していたものの、07年4月は前年同月比25.8%増となるなど、このところ再び高まっていることが挙げられる(図2)。中でも、投資全体の2割程度を占める不動産が4月は同28.6%増となるなど、全体の伸びを押し上げている。

  3. 不動産投資全体に占めるシェアの大きい北京(※注2) 等の一部の大都市では、近年、住宅価格の高い伸びが続いており(図3)、一般家庭の住宅取得が困難となる問題が深刻化している。この背景としては、不動産業者による価格のつり上げ等の違法行為や高級マンション等への投機的な需要が増加していることが指摘されている。そのため、当局は06年5月以降、投機を抑制しつつも、中低所得家庭向けのエコノミー住宅等 (※注3) について供給を促進する政策を打ち出している(表1)。

  4. その結果、不動産投資のうちエコノミー住宅用の投資は、06年10-12月期以降前年比40%以上の高い伸びで推移しており、政府の中低所得家庭向け住宅促進政策は一定の効果を上げているとみられる。しかし、一方で不動産以外の投資を含め、投資過熱の動きには注視が必要である。したがって、当局は当面マクロコンロール強化の姿勢を続けていくものとみられるが、同時に中低所得家庭向けの住宅供給は確保していく必要があることから、今後はよりきめ細やかな運営が必要になるものとみられる。

    (※注1)中国政府は、投資の急速な伸びによる経済の過熱懸念や、一部業種でみられる過剰な供給能力、貿易黒字の拡大等による対外不均衡といった問題に対し「マクロコントロール」と呼ばれる産業政策・金融政策の2本からなる政策を実施し、過熱の抑制に努めてきている。特に、名目GDPの約4割強を占め、近年高い伸びが続いている固定資産投資については、重点的に過熱抑制策を打ち出している。
    (※注2)不動産投資全体に占める北京のシェアは9%程度で最大。
    (※注3)エコノミー住宅は、政府が一般家庭の住宅不足解消のため優遇政策を実施し、建設基準、供給対象、販売価格を制限した政策的な分譲住宅であり、中央政府の基準によると、面積は中規模の間取りで80平方メートル前後、小規模の間取りで60平方メートル前後とされる。

図1:各種政策金利の推移 図2:固定資産投資(都市部)の推移 図3:不動産価格上昇率 表1:主な不動産関連政策
(備考)
中国国家統計局、CEICデータ、中国人民銀行等より作成。

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   野口 美雪  直通:03-3581-9537
   勝間田 真由子  直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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