今週の指標 No.807 目次   前へ  次へ 2007年5月28日

アメリカ:減少する自動車販売

<ポイント>

  1. アメリカの自動車販売(注1)は、2006年の販売台数が1,650万台と05年(1,695万台)から2.6%の減少(注2)となった。これは2000年代に入ってから最も少ない台数である。この要因として、06年半ば以降アメリカ経済の成長が減速してきたことに加え、これまでにアメリカ自動車メーカーが行ってきたゼロ金利ローンや従業員割引の一般購入者への適用といったインセンティブ販売の反動減などが考えられる。07年に入ってからは、1、2月は06年の水準をやや上回ったものの、3月、4月は前月比で減少するなど06年の水準を下回り、販売台数の減少が続いている(図1)。

  2. 種類別の販売台数をみると、ライトトラック(注3)が01年には乗用車を超えるなど急増していたが、04年をピークにその後は減少した。背景として、高水準のガソリン価格を反映し、大型で燃費の悪いライトトラックが敬遠され、より燃費の良い乗用車に消費者の嗜好が変化していることなどが考えられる(図2、3)。

  3. メーカー国別の販売台数をみると、日本メーカーは乗用車が伸びるとともに、全体のライトトラック需要が減少する中で、燃費に優れ、耐久性に定評のあるライトトラックでも台数を伸ばしている。一方、アメリカメーカーのBIG3(注4)については乗用車の減少に加え、これまで高水準を維持していたライトトラックでも05年以降減少している(図4)。こうしたことも反映して、メーカー国別の販売シェアをみると、日本メーカーが04年には30%を超えるなど拡大を続けている一方、アメリカメーカーのBIG3は50%台前半まで低下している(図5)。

  4. 今後もガソリン価格が高い水準で推移すれば、ライトトラックの販売台数はさらに低下する可能性も考えられる。アメリカメーカーのBIG3及び日本メーカー販売上位3社の種類別販売内訳をみると、日本メーカーでは販売台数に占める乗用車の比率が高いが、アメリカメーカーではライトトラックの比率が高くなっていることから(図6)、アメリカメーカーの販売シェアが一層低下するおそれがある。

  5. ブッシュ大統領は、07年1月に行われた一般教書演説において、2017年までにガソリンの消費量を現在想定される同年の使用量から20%削減するなどの提案を行った。最近では、ガソリンと電気など複数の動力源を利用したハイブリッドカー、燃費の良いディーゼルエンジン車、トウモロコシなど植物を原料とするエタノール燃料の普及が進められている。1.でみたような自動車販売の減少や構造的な競争力の低下等により、06年にはアメリカの自動車メーカーは減産の動きが相次ぐなど苦戦が続いている。今後、自動車の燃費性能の向上や代替燃料の開発等を進めていくことが自動車メーカーにとって競争力向上の鍵になるのではないかと考えられる。

    (注1)アメリカにおける自動車販売市場は、乗用車市場+ライトトラック市場を指す。
    (注2)商務省公表の月次(年率、季節調整値)の平均値。
    (注3)ライトトラックとは、ミニバンやSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)を含む総量14,000ポンド(約7t)までのトラックの総称。
    (注4)BIG3とは、GM(ゼネラル・モーターズ)、フォード、クライスラーを指す。

図1 自動車販売台数の推移 図2 乗用車とライトトラック販売台数の推移
図3 ガソリン価格の推移 図4 アメリカ及び日本メーカーの種類別自動車販売の推移
図5 アメリカ市場における自動車販売のメーカー国別シェア 図6 アメリカ及び日本メーカーの種類別販売内訳(2006年)

(備考)
アメリカ商務省、アメリカエネルギー省、オートデータにより作成。

担当:参事官(経済財政分析−海外担当)付 大塚 昌明 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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