今週の指標 No.803 目次   前へ  次へ 2007年5月14日

アメリカ:個人消費は堅調だが、先行きには注視が必要

<ポイント>

  1. アメリカの景気の先行きには懸念も見られるものの、個人消費は堅調に推移している。 4月27日に発表された2007年1-3月期の実質GDPを見ると、民間住宅投資の落ち込みや外需がマイナスに転じたことなどから成長率は前期比年率1.3%増と4年ぶりの低い伸びとなる中、消費は同3.8%増と堅調に推移している(図1)。月次の個人消費・支出統計を見ても、3月の実質個人消費は前月比0.2%減となったが、前年同期比では3.1%増と基調としては堅調であることが確認される(図2)。
  2. 消費が堅調な背景としては、実質可処分所得が堅調に増加していることが挙げられ、結果として貯蓄率もマイナスで推移している(前掲図2)。可処分所得のうちの約6割を占める賃金所得は、雇用者数(4月は前年同期比1.4%増)、民間非農業部門の時間当たり賃金(4月は同3.7%増)の堅調な伸びが続いていることから、サービス業を中心に堅調に推移している(図3、4)。しかしながら、足元では製造業の賃金所得が前年同期比でマイナスに落ち込んでおり、雇用者数の拡大ペースも06年後半と比べれば緩やかになっている。製造業の調整が続く中、雇用・所得環境はサービス業の成長に依存しているところが大きく、今後、雇用・所得環境の良好さを維持できるかどうかが消費にとって大きな鍵となると言える。
  3. 次に、小売売上高とガソリン販売額(名目)の伸びの推移を見ると、足元ではガソリンへの家計支出が増加しているが(図5)、これは06年秋以降、落ち着きが見られたガソリン小売価格が、原油価格の高騰を受け、07年に入って再び上昇を続けていることによるものと考えられる(4月平均:2.845ドル/ガロン、5月第1週には3.054ドル/ガロンとなった)。また、このところCPI(総合)上昇率も上昇を続けており、消費者マインドはやや低下している(図6)。CPI(総合)やガソリン価格が上昇すると消費者マインドが低下するといった傾向が見られることから、これらの動向次第では、実質所得の減少や消費者マインドの悪化を通じて、消費の下振れをもたらすことも考えられるため、その動向には注意が必要である。

図1:実質GDP成長率
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図2:実質個人可処分所得・実質個人消費の推移 図3:部門別賃金所得(名目)の伸びの推移 図4:雇用関係指標の推移 図5:小売売上高とガソリン販売額(名目)の伸びの推移
図6:消費者信頼感指数とCPI(総合)、ガソリン小売価格の推移

(備考)
(出所)米国商務省、労働省、エネルギー省、コンファレンス・ボードより作成。

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   大塚 昌明  直通:03-3581-9536
   坂井 潤子  直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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