今週の指標 No.796 目次   前へ   次へ 2007年4月2日

マクロ所得と家計消費の関係が一様でないことの背景

<ポイント>

  1. 雇用者報酬(以下、マクロ所得)と家計消費はこれまでほぼ連動して推移してきたが(図表1)、消費を形態別に分けてみると、その動きは一様ではなく、マクロ所得との連動性は形態ごとに異なることがわかる(図表2)

  2. このような消費の形態ごとのばらつきを説明するため、マクロ所得を分解してその構成要素と形態別消費との相互関係を分析する。まず、マクロ所得の推移を雇用者数(以下、雇用要因)と一人当たり雇用者報酬(以下、賃金要因)の推移に分けてみると、雇用要因が遅行しやすいこともあって、賃金要因の方向感と相反する局面がみられることが分かる(図表3)

  3. 次に、マクロ所得と形態別の家計消費との弾力性をみると、水準そのもののほか、雇用要因に対する弾力性の寄与と賃金要因に対する弾力性の寄与にも異なる傾向があることがわかる(図表4)。弾力性が示唆することは、

    (1)マクロ所得に対する弾力性は耐久財、半耐久財で高く、サービスや非耐久財で低い。マクロ所得が増加する局面では、耐久財や半耐久財の消費が活発化しやすい。

    (2)ただし、耐久財は相対的に賃金弾力性の寄与が大きい。これは奢侈感のある高額品の割合が高いためで、マクロ所得が増加しても賃金要因によるものでなければ消費に結びつきにくいことを意味する。一方、半耐久財や非耐久財は雇用弾力性の寄与の方が大きい。これは賃金が増加しなくても雇用者数が増加することで幅広く消費されるような生活必需品の割合が比較的高いことを意味する。サービスについては弾力性の寄与が拮抗しており、賃金に反応するサービスと雇用に反応するサービスが同程度含まれていることを表している(図表5)

  4. 賃金要因の伸びが減速する中で、雇用要因が堅調に推移することでマクロ所得が支えられている局面では、一般的に賃金弾力性が高い耐久財の消費が比較的減速しやすい一方、雇用弾力性が高い非耐久財や半耐久財の消費は堅調に推移するとみられる(注)。マクロ所得の伸びが続いたとしても、一人当たり賃金が伸びない中で雇用者数が伸びるような二極化傾向が鮮明になると、小売業(スーパー、百貨店、家電量販店等)においては、取り扱う商品分野の違いから業態ごとに売上に明暗がでる可能性がある。そのため、マクロ所得の動向だけでなく、構成要素となる賃金および雇用者数の動向についても詳細に把握していく必要がある。

    (注)夏場以降は雇用増が続く中で、非耐久財や半耐久財の消費が大幅に減速している。これは梅雨明けの遅れや生鮮野菜相場の高騰、暖冬などの特殊要因による、生鮮野菜や飲料、衣料品等の消費の一時的な落ち込みである可能性が高く、長期的にはここで分析した形態別消費と所得との関係は成立していると考えられる。


図表1 マクロ所得と消費の関係
図表2 形態別消費の推移
図表3 雇用者報酬の寄与度分解
図表4 形態別消費のマクロ所得弾力性
図表5 形態別 主な品目

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 渡辺 浩志 直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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