今週の指標 No.795 目次   前へ  次へ 2007年3月26日

中国:全人代を開催−成長の「質」を高め安定した速い成長を目指す−

<ポイント>

  1. 中国では3月5日から16日にかけて全国人民代表大会(全人代)が開催され、07年の主要な経済目標及び経済政策の決定が行われた。07年の経済成長率の目標値は昨年と同様の8%前後とされた(図1、表1)。03年以来4年連続で10%台の成長を続けている実績と比較し、低めの成長目標を掲げた背景としては、経済構造の改善、効率性の向上、資源節約、環境保護といった質的側面に重点を置き、経済成長率のみの追求を防ぐ目的があるものとみられる。

  2. 経済運営については、「経済の良質かつ急速な発展を促進する」という経済発展の大きな方針の下で、「マクロコントロールの強化、改善を堅持する」としている。投資の急速な伸びによる経済の過熱懸念や一部業種でみられる過剰な供給能力、貿易黒字の拡大等による対外不均衡といった問題に対しては、引き続き過剰な投資や融資規模の抑制を図っていく姿勢がみられる。ただし、近年高い伸びが続いており、06年も前年比24%増(名目値)となった固定資産投資については、07年の数値目標は掲げず「適正な伸びを保ち、投資構造の最適化に力を入れ、投資のパフォーマンスを向上させる」とするにとどまった。また、国際収支についても、06年の貿易黒字は前年比74%増の1775億ドルとなったが、金融政策や外貨管理の強化・改善等とともに、「多方面から手立てを講じて、国際収支の不均衡の状況を逐次改善していく」とされたものの、新たに具体的な方策は示されなかった。

  3. その他、今回の全人代で採択された重要な法案として、内外企業の企業所得税率の統一を目的とした企業所得税法がある(表2)。従来優遇されてきた外資企業向けの税率を引き上げ、一方で国内企業向けの税率を引き下げる。また、国の支援対象となるハイテク企業や、資源節約、環境保護に関する投資を行う企業に対しては内外企業を問わず税率軽減等の優遇措置を適用する。これらの措置により国内企業の競争力向上や産業構造の高度化につなげるとともに、外資の誘致についても、優遇措置の対象をしぼり、より産業高度化につながる企業の誘致に努めることで、経済構造の改善等の「質」の向上を進めていく狙いもあるとみられる。

  4. 温家宝首相による政府活動報告(所信表明に相当)では、現在の中国が抱える多くの問題について率直に指摘がなされた(表3)。その中でも省エネ・環境保護については、06年は関連の目標値は達成されなかったものの(※)、今後、第11次5か年計画期間中において必ず実現していくと強い決意が表明された。この他、都市・農村間及び地域間の発展不均衡や、投資・消費の伸びのバランスが悪いこと等、高い成長の中で様々な不均衡があることが指摘されており、今回示された方針のように成長の「質の向上」が今後の持続的な成長にとって大きな課題となる。

    (※)第11次5か年計画ではエネルギー効率向上を目的とし、単位GDP当たりのエネルギー消費量、主要汚染物質総排出量についてそれぞれ5年間で20%、10%削減する目標を立てた。初年度の06年はそれぞれ4%、2%削減を目指すとしていたが、実績は単位GDP当たりのエネルギー消費量で1.2%削減にとどまり、主要汚染物質総排出量では化学的酸素要求量(COD)、SO2でそれぞれ1.2%、1.8%の増加となった。

図1:実質GDP成長率 表1:07年の主要目標
表2:企業所得税法の概要 表3:政府活動報告で指摘された中国が抱える主要な問題

(備考)中国国家統計局、CEICデータ、全人代資料より作成。

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   野口 美雪    直通: 03-3581-9537
   川端 知也子   直通: 03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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