今週の指標 No.794 目次   前へ  次へ 2007年3月19日

銀行貸出増加の背景〜運転資金需要の動向〜

<ポイント>

  1. 2月の貸出・資金吸収動向によると、金融機関(全国銀行)の貸出は、前年同月比1.4%増と13ヶ月連続プラス圏で推移している(図1)。
  2. 貸出先別にみると、法人向け貸出において、大中堅企業向け貸出がおおむね横ばいで推移する一方、中小企業向け貸出が堅調に推移している(図2)。
  3. 法人向け貸出の内訳を資金使途別にみると、運転資金の増加が全体を押し上げていることがわかる(図3)。また、設備投資資金の内訳をみると、期中返済額が減少しつつあるものの、依然として設備投資はキャッシュフローの範囲内で実施されており、借入超過には至っていない(図4)。
  4. 他方、資金需要側の統計である法人企業統計季報でみると、同様に、運転資金需要(企業間信用差額と在庫投資の合計)の増加がみられる。企業規模別にみると、中小企業では、企業間信用差額(企業間信用の与信超の大きさ)の増加がみられる(図5)。企業間信用は手形取引縮小といった決済方法の変更のみならず、サイト(売上(仕入)から代金回収(決済)までの期間)の短縮化等によって、これまで縮小されてきた(図6)。しかし、資金調達の方法が限られる中小企業にとって、企業間信用の役割は依然として大きく、その差額は運転資金需要の拡大という形で、中小企業向け貸出増加の背景となっていることと考えられる。

図1.業態別貸出の推移
図2.貸出先別の推移
図3.法人向け貸出の資金使途別の貸出内訳
図4.設備資金の新規・返済内訳
図5.資金需要の推移
図6.企業間信用の内訳

(備考)
1. 図1は、日本銀行「貸出・資金吸収動向」により作成。
2. 図2、3、4は、日本銀行「貸出先別貸出金」により作成。
3. 図5、6は、財務省「法人企業統計季報」により作成。
   図5は後方四半期移動平均。
   ・資本金1千万円以上1億円未満を中小企業、同10億円以上を大企業とする。
   ・企業間信用差額=受取手形・売掛金−支払手形・買掛金
   ・キャッシュフロー=経常利益×0.5+減価償却費
   ・売上債権回転期間=(受取手形(割引手形を含む)+売掛金)/月平均売上高
   ・買入債務回転期間=(支払手形+買掛金)/月平均売上高

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付

   小田 晋一郎  直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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