今週の指標 No.785 目次   前へ  次へ 2007年2月5日

企業部門における費用構造の考察

<ポイント>

  1. 企業収益の改善傾向が続いている。2006年7−9月期の法人企業統計季報によると、全産業の経常利益(前年同期比)は+15.5%と伸び率が拡大した。また、売上高経常利益率も改善傾向を辿っており、製造業、非製造業ともにバブル期を超える水準に達している(図1)。こうしたなか、人件費など諸費用の増加傾向が続いている(図2)。以下では今景気回復期における変動費や人件費の動向などを考察する。
  2. まず変動費比率(変動費/売上高)をみると、2004年以降に原油価格の高騰などを背景として製造業を中心に上昇ペースが加速している(図3)。しかし、原油価格(WTI)は昨年の夏場にピークをつけてから、足元まで比較的落ち着いた推移が続いていることから、企業部門にとっては収益圧迫の緩和となろう。なお、先行きについては海外経済の底堅い推移が見込まれることなど需給面から考えると、原油など素材価格の大幅な下落は考えにくい。
  3. 一方、人件費の増加ペースを過去の回復局面と比較してみると、今回復局面では、しばらく厳しい削減を行っていたことが確認できる(図4)。また、相対的に賃金水準の低い非正規雇用者を活用することなどにより、人件費の抑制を行ってきたと考えられる。2006年7−9月期ではキャッシュフローの順調な伸びが続くなか、ようやく2002年初の水準に戻りつつある。
  4. 以上のような変動費や人件費の増加は企業部門にとっては収益に対する押し下げ要因となる。今のところ増収により、こうした費用の増加分を十分に吸収しており、懸念するような状況ではない(図5)。先行きは変動費や人件費などの増加を伴いつつ、高水準の収益を維持するために売上高の拡大ペースがさらに重要となる(図6、7)。

図1.売上高経常利益率の推移、図2.人件費と変動費(前年同期比)の推移、図3.変動費比率の推移、図4.景気回復期における人件費の増加パターン
図5.経常利益(全産業)前年同期比の要因分解、図6.売上高と人件費(全産業)の関係、図7.売上高計画(全産業)の推移

担当:参事官(経済財政分析総括担当)付 齋藤 俊輔 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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