今週の指標 No.783 目次  前へ  次へ 2007年1月22日

ノロウイルスの流行により広がる被害

<ポイント>

  1. 厚生労働省によると、11月1日〜12月18日の間における、ノロウイルスを原因とする食中毒感染者数は、9,650人で前年同期の1,737人を大幅に上回っている。また、ノロウイルスを中心とする感染性胃腸炎の疾病報告件数は昨年より立ち上がりが早く、大きく上回る勢いで増加し、12月第2週にピークに達している(図1)。
  2. また、ノロウイルス流行による風評被害が広がっており、その影響は消費にも及んでいる。新聞報道等によると、オイスター・バーを全国展開する企業では、12月の売上が目標を1割以上下回ったという。また、大手スーパーへのヒアリングによると、12月の売上は、水産品全体ではほぼ前年並みのなか、貝類の売上は前年同期を1割程度下回っている。
  3. 風評被害による消費の落ち込みにより、感染性胃腸炎疾病の報告件数ピーク直後である12月第3週、国内主要産地である広島産、三陸産養殖カキの卸売価格は、前年同期比で6割前後下落した(図2)。また、数量も、生鮮魚類全体がおおむね横ばいで推移するなか、消費の低迷や、養殖業者の出荷自粛などにより、12月第4週(12月22日〜28日)には、前年同期比で4割減少した(図3)。景気ウォッチャーのコメントをみても、ノロウイルスによる食中毒のまん延が、カキの生産者や販売業者、外食産業など幅広い業種に大きな影響を及ぼしていることがわかる(表4)。
    ※ 国内主要産地(順位は04年生産量) 広島−全国1位、三陸(宮城−同2位、岩手−同4位)
  4. 一方で、自治体や政府系金融機関、地方銀行などでは、ノロウイルスや風評による被害を受けた中小事業者等に対して、相談窓口の設置や低利融資を行うなど、支援の動きが広まっている(表5)。
  5. 07年初売りでも、カキ入荷数量は前年比35%減と相変わらず風評の影響が見られ、関連業者を取り巻く環境は相変わらず厳しいと考えられるが、その後、1月第1週の取引では、数量、価格共に改善傾向が見られる(図2、3再掲)。一刻も早く、ノロウイルスが沈静化し、市場取引が活発化することを期待したい。

【図1】感染性胃腸炎 疾病報告数〜咋年に比べ立ち上がりが早く、件数も大幅に増加〜
【図2】ムキカキの市場卸売価格(前年同期比)〜風評被害の影響を受け大幅下落〜
【図3】ムキカキと生鮮魚類の取引数量(前年同期比)〜生鮮魚類は横ばいも、ムキカキは12月に大きく減少〜
【表4】ノロウイルスに関連するウォッチャーコメント〜ノロウイルスのまん延が消費にも影響〜
【表5】ノロウイルスに関連した地域支援の動き〜カキ特産地の自治体、地方銀行が低利融資を実施〜

(備考)
・図1 厚生労働省国立感染症研究所「感染症週報」により作成。06年9月第1週は9月4日より起算、以降、月曜日から日曜日までを一週としている。
・図2、図3 東京都中央卸売市場「市場取引情報」により作成。本文、表中の数値はいずれも、東京・築地市場取扱分、卸売価格は中値ベース。10月第1週は9月29日より、1月第1週は1月5日よりそれぞれ起算、金曜日から木曜日までを一週としている。図1と起算方法が異なることに留意する必要がある。
・表4 内閣府「景気ウォッチャー調査(12月調査)」により作成。
・表5 自治体、政府系金融機関、地方銀行HP,新聞報道等により作成。

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 芝崎 晴彦 直通:03-3581-1392

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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