今週の指標 No.775 目次  前へ  次へ 2006年12月18日

公共投資における価格競争拡大の影響

<ポイント>

  1.  最近の公共投資は低調に推移している。その減少要因には、国、地方での予算削減等の動向だけでなく、入札価格競争の影響もみられる。2005年度の国、地方における公共工事契約金額(前年度比)をみると、入札価格競争による減少が寄与している。(国で2.9%減少、都道府県及び政令市の合計で1.5%減少)(図1)
  2.  05年度の国での契約状況をみると、一般競争入札が増加し、指名競争入札が減少している。一般競争入札は04年度入札件数の約7倍に急増したが、これは05年度に入札談合の再発防止策として一般競争入札方式の対象工事を拡大しているためと考えられる。(図2、3、備考1)
  3.  この間、一般競争入札の落札率(入札価格/工事予定価格)は約7%ポイント低下した。一般競争入札の拡大は公共投資の効率化につながっているところではあるが、一般競争入札の内訳をみると、低入札価格工事件数や入札辞退工事件数が増加しており、工事受注のための激しい価格競争が繰り広げられていることが伺える。他方で、1件に1社のみ入札する案件の増加もみられ、競争性を確保できない事例も見受けられる。公共投資のさらなる効率化に向けて、公共工事の入札においては今後とも競争性を高める取り組みを進め、質の高い競争環境を整備することが必要である。(図4、3、備考6)

図1.公共工事契約金額の推移
図2.公共工事の契約区分別の工事、図3.国における一般競争入札の現状
図4.国における一般競争入札の落札率

(備考)
1 国における競争入札の下限額を従来は7.3億円としていたところを、05年10月以降段階的に引き下げ、06年4月には2億円となった。これに合わせて、05年度の入札件数は、04年度には167件、05年度には1,011件(前年度同基準対象:122件、新たな基準対象:979件)となった。
2 図1〜4は、地方整備局(港湾空港関係除く)の工事の数値から作成。(国土交通省直轄工事統計約関係資料集から作成。)
3 図1の都道府県と政令市の合計は、全国市民オンブズマン調査の数値から作成。
4 図1での工事予定価格、工事契約金額(消費税を除く)は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約のそれを合計したもの。工事予定価格、入札価格、工事契約金額、落札率の関係は下記の式によるものとして試算。
  落札率=入札価格/工事予定価格(消費税を除く)
  工事契約金額(消費税を含む)=入札価格×(1+0.05)
  競争による減額=工事予定価格−入札価格
5 図3の低入札価格工事件数は、入札において調査基準価格を下回る応札があり、当該年度中に契約を締結(次順位を含む)した件数を表す。また、同一入札において2者以上が調査基準価格を下回る入札を行った場合、件数は1と数える。  なお、調査基準価格は、3分の2から10分の8.5の範囲内で契約担当官等の定める割合を予定価格に乗じて得た額となっている。(「予算決算及び会計令第85条の基準について」(平成11年4月8日平成11年蔵会第1193号))
6 国土交通省発注工事において、05年10〜12月の期間で応札者が1社しかないケースは20件(前年度は0件)となり、急増したと指摘している。(日刊建設工業新聞 06年1月13日記事)また、北海道開発局では、2006年8月末までに契約した工事の中で参加業者数が3社以下だったケースは、全体の3分の1に上がっている。(北海道建設新聞 06年10月3日記事)

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 中島 敬子 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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