今週の指標 No.773 目次   前へ   次へ 2006年12月11日

我が国における対内直接投資の現状

<ポイント>

  1. 我が国における対内直接投資は主要国中、最も低い水準にある(図1)。UNCTAD“World Investment Report 2006”によると、我が国の対内直接投資実績指数が世界第131位であるのに対し、対内直接投資潜在指数は世界第22位と大きな開きがあり(注1)、その潜在的な力を活かしきれていない状況にあるといえる。
    注1:世界144の国及び地域における順位。対内直接投資実績指数は、対内直接投資(フロー)/世界の対内直接投資とGDP/世界のGDPの比。対内直接投資潜在力指数は、一人あたりGDP、GDP成長率、通信インフラ、R&D支出、カントリーリスク、高等教育普及率等といった12指標を指数化したもの。詳細は以下URL参照。
     http://www.unctad.org/Templates/webflyer.asp?docid=7431&intItemID=1397&lang=1&mode=downloads
  2. 対内直接投資の拡大は、新しい技術や経営手法をもたらすとともに、雇用機会の増大にもつながり、経済成長を加速させると考えられる。対内直接投資にはM&A投資とグリーンフィールド投資(注2)の2つの形態がある。平成18年度通商白書によれば、主要国においては、対内直接投資の内、クロスボーダーM&Aが太宗を占めている(前掲図1、図2)。一方で、我が国が世界のクロスボーダーM&Aに占める割合は1.1%と僅かであり(図3)、これを活発化させることが重要と考えられる。
    注2:新たに投資先国に法人を設立する形態の投資。
  3. クロスボーダーM&Aの対価支払方法に株式交換がある。これは買収の際に対価として株式を使うため、多額の現金を必要とせず、時価総額が大きい企業のM&Aが容易になるというメリットがある。世界のクロスボーダーM&Aの約75%が行われているアメリカとEU(前掲図3)。その両国間のM&A総額に占める株式交換を用いた取引の割合は多くはないが(図4)、現在ほぼ皆無の我が国においては、株式交換の利用が可能になることは、ある程度の押し上げ効果が期待される。また、アメリカにおけるクロスボーダーM&Aを投資形態別にみると、外国企業の子会社等による間接取得が多くを占めている(図5)。これには、三角合併(注3)が含まれている。
    注3:被買収企業の株主に対し、買収企業が所有する親会社の株式を交付する合併方式。
  4. 我が国においても三角合併が来年5月に解禁される。これまでみてきたように、国際的には、子会社等を通じたクロスボーダーの株式交換は一定の利用がなされている。

図1 主要国における対内直接投資
図2 主要国におけるクロスボーダーM&A
図3 クロスボーダーM&A地域別内訳(金額ベース、2005年)
図4 アメリカ・EU間クロスボーダーM&A支払タイプ別内訳(金額ベース、2006年1月〜11月間)
図5 アメリカ企業クロスボーダーM&A投資形態別内訳

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 寺西 航佑 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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