今週の指標 No.769 目次   前へ   次へ 2006年11月20日

アメリカ:緩やかな上昇を続けるコア消費者物価

<ポイント>

  1. アメリカの消費者物価の動きをみると、原油価格下落の影響により総合指数は夏以降、伸びが鈍化している。一方で、変動の大きい食品・エネルギーを除いたコア指数は引き続き緩やかながら上昇が続いており、2006年に入って上昇率がやや高まっている(図1)。
  2. このコア消費者物価の動きを財とサービスに分けて考えると、2004年以降は両者とも経済の需給バランス(GDPギャップ)に合わせて上昇する傾向がみられるが、2つの上昇率は大きく異なっている(図2、3)。財価格の動きについては、需給の引き締まりなどから、2005年以降、前年同月比でみて上昇に転じているものの、その上昇幅は緩やかなものにとどまっている。このひとつの背景としては、グローバル化の進展によって、財価格が輸入品の影響を強く受け、価格競争の面から上昇を抑制されていることが考えられる。実際に消費財の輸入物価と財価格の動きを比較してみると、GDPギャップが大きくマイナスとなった2003年や2004年頃には乖離がみられるものの、その後はある程度類似した動きをする傾向がみられ、輸入物価の上昇が小幅にとどまる中で、財価格の上昇も限定的なものになっている(図4)。
  3. 一方、サービス物価については、変動はあるものの概ね3〜4%の上昇が続いている。サービス価格については、その性質上、財価格に比べて国際競争の影響を受けにくく、また、コストに占める人件費の割合も高いと考えられることから、より国内の賃金動向に左右されやすいと考えられる。サービス価格とサービス業の賃金の動きを比較してみると、2004年以降は、需給の引き締まりを背景に賃金の上昇率は緩やかに高まっており、サービス価格の上昇率も高まっている(図5)。
  4. エネルギー価格による物価上昇圧力は低下し、国際的な競争の中で財価格の上昇は小幅なものにとどまる可能性が高い。他方、コア消費者物価指数に占めるサービスの割合は大きく、コア消費者物価の動きはサービス部門の動きに左右される面が大きい。また、サービス価格に影響を与えると考えられるサービス業の賃金の上昇率は、2004年以降、基調としては緩やかに高まってきており、今後の物価動向をみる上で、国内の労働需給や賃金の動向には注目する必要がある。

図1:消費者物価の推移 
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図2:消費者物価(コア)における財・サービスの推移 図3:GDPギャップの動きとの比較 図4:コア消費者物価(財)及び輸入物価(消費財)の推移
図5:賃金及びコア消費者物価(サービス)の推移
(備考)
1.米国労働省、FRB、OECDデータベース、データストリームより作成。
2.財(除く食料・エネルギー):コア消費者物価のうち、財。
3.サービス(除くエネルギー):コア消費者物価のうち、サービス。

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   小堀 厚司  直通:03-3581-0974
   坂井 潤子  直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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