今週の指標 No.759 目次   前へ  次へ 2006年10月02日

ユーロ圏:ユーロ高の背景と行方

<ポイント>

  1. 通貨ユーロは、名目実効為替レートでは年初より約5%の増価となっている(図表1)。対ドルや対円では名目実効為替レートの伸びを大きく上回り増価しており、特に対円では史上最高値近辺にある。一方、対ポンドでは弱含んでいる。こうしたユーロ高の背景としては、(1)ユーロ圏経済の回復(2)ユーロ圏の金利先高感(3)外貨準備通貨のユーロシフトが挙げられている。

  2. まず、ユーロ圏経済の動向をみると、景気は回復を続けており、2006年1-3月期(前期比年率3.2%)及び4-6月期(前期比年率3.6%)は2.0%程度と言われる潜在成長率を上回る成長となった。ただし、内訳を見ると外需寄与度はプラスであるが、同時期の財の貿易収支はすでに赤字となっている。ユーロ圏の経済については、当面は回復が続くものと思われるが、一方で今後ユーロ高や米国経済の動向等の経済に与える影響が注視されるところであり、07年1月からの付加価値税引上げ(16%→19%)を控えた域内最大国であるドイツの景況感指数など景気減速を示唆する指標もみられる(図表2)。

  3. 次に、政策金利については、欧州中央銀行(ECB)は足元の景気拡大を確認した上で、物価上昇率及びマネーサプライの高い伸びを踏まえ、今年に入ってからは3、6、8月と25bpずつ利上げを行い、政策金利は3.0%となっている(図表3)。現在は名目/実質政策金利ともアメリカより低い状態にあるが、市場の見方としては、アメリカの政策金利先高感は後退している。一方、ユーロ圏の政策金利については、10月にも再利上げが行われるとの見方もなされており、なお相対的な先高感があるが、EURIBOR先物3ヶ月ものの動きをみると、07年央に政策金利が3.6-3.7%程度でピークアウトすることを示すものとなっている。

  4. 最後に、外貨準備については、発展途上国の外貨準備ユーロ構成比は30%近くに上っているものの、先進国の同比率は20%程度に低下しており、全体としては25%程度で横ばいまたは若干の低下傾向となっている(図表4)。ただし、06年6月にロシアのイグナチエフ露中銀総裁が外貨準備のユーロ運用比率を25-30%から40%に高めたことを明らかにするなど、最近外貨準備通貨の見直しを発表している国もあり、今後の動向は不確実性がある。

  5. このようにこれまでユーロ高を支えてきた3つの要因をみてみると、金利の相対的な先高感がなお残るものの、貿易収支の悪化など弱い材料もみられ、今後の動向が注視される。

図表1:為替レートの推移 図表2:景況感指数 図表3:欧米の名目/実質政策金利 図表4:外貨準備の推移とユーロの構成比

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)室

   山本 知範  直通:03-3581-0056

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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