今週の指標 No.756 目次   前へ  次へ 2006年9月19日

アメリカ:労働市場のひっ迫は持続する可能性も

<ポイント>

  1. 9月1日に公表されたアメリカの雇用統計において、米国の雇用の動きを示す代表的な指標とされる非農業雇用者数は前月比12.8万人増となった。建設業の伸びの鈍化・小売業の減少などから、非農業雇用者数は、06年4月以降10万人台 前半の増加が続いており、2005年(平均16.5万人増)と比べ増加幅が鈍化している(図1)。

  2. 一方、失業率は4.7%と前月から0.1%ポイント低下しており、非農業雇用者数の動きとは対照的に労働市場のひっ迫が続いていることを示唆している。今回の足元までの失業率低下局面(03/6〜06/8)においては、過去の類似局面と比べ、 失業率の低下幅と比した非農業雇用者数の増加は少ない。失業率の直近のピークから足元までの動きを、前回の同様の局面(失業率のピークからボトムの期間:92/6〜00/9)と比較すると、今回の非農業雇用者数の平均増加数は15万人程度であり、前回局面の約24万人を下回っている(図2)。

  3. この背景には低水準の労働参加率がある。通常、労働参加率は雇用が減少する局面においては、賃金の低下などの労働条件悪化により低下し、雇用が拡大する局面では逆に上昇する傾向があった。しかし、今回の局面においては、雇用が緩やかに拡大している一方で労働参加率の動きは非常に鈍い(図3)。このため、新規の労働供給が限られ、雇用者増が比較的少ないにもかかわらず、失業率が大きく低下したと考えられる。

  4. このように雇用の拡大にも関わらず、労働参加率が上昇しない要因は必ずしも明らかではないが、高齢化などの人口構成の問題や、賃金格差の拡大による若年者の高学歴指向などが背景にあると言われている。アメリカでは景気の緩やかな減速に伴い、雇用者数の伸びはやや緩やかになることが見込まれているが、(ブルーチップ(民間エコノミストの平均)予測:07年の月平均12.1万人) 、上述した要因により、失業率・賃金等からみた雇用市場のひっ迫感が当面持続する可能性もあることに注意が必要である。

図1.非農業雇用者数と業種別の動き
図2.失業率と非農業雇用者数の関係 図3.労働参加率と非農業雇用の関係

担当:参事官(経済財政分析−海外担当)付 田口 儀人 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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