今週の指標 No.755 目次   前へ   次へ 2006年9月19日

電気機器輸出における牽引品目の変化 〜映像機器向け液晶の寄与が増加〜

<ポイント>

  1. 輸出数量指数は1−3月期に高い伸びを見せたが、その後増勢を緩めて、現段階では横ばい圏内の動きに転じている。横ばいに転じた要因を主要品目別に見てみると、増加基調を継続してきた自動車 及び年初に高い伸びを示した電気機器がこのところ横ばいになっていることが影響していることが分かる(図1)。
  2. 特に電気機器については、05年後半〜06年前半にかけての輸出増加期においても、過去の輸出増加局面と比べて寄与が小さかったことがうかがえる(図2)。
    では現局面において、電気機器はおしなべて輸出への影響力が小さくなっていると評価すべきであろうか。
  3. 実際は足元の1年間で電気機器の輸出品構成に変化が起きている点に留意する必要がある。具体的には、これまで電気機器輸出の動向に大きな影響を及ぼしてきた半導体等電子部品(=メモリー等の集積回路や光デバイス・トランジスタ等の電子部品)が、昨年夏の景気の踊り場脱却以降もほぼ一貫して数量が前年割れしているのに対して、テレビやビデオカメラ等映像機器に組み込まれる液晶モジュールを含む音響・映像機器の部分品(注)が輸出量を急増させており、現在の電気機器輸出水準を支えていることが分かる(図3)。
    また、液晶を組み込んだ完成品である液晶テレビやビデオカメラ等の最終製品が含まれる映像機器も前年割れの状況が継続しているが、これは加工組立を行う工場の設立が海外でも進んでいること等により、液晶テレビ等の分野においても最終製品輸出から部分品輸出へと主軸が移っている可能性を示唆している。

    注:貿易統計において“音響・映像機器の部分品”の全てが液晶モジュールでないこと、また逆に液晶モジュールの全てが“音響・映像機器の部分品”に分類される訳ではない点には留意を要する(例:用途が定まっていないものについては科学光学機器に分類される)。

  4. 今後の電気機器輸出動向を考えるに際して、大局的に見れば液晶モジュール・半導体ともに最終製品輸入国の消費動向に影響されることは共通である。しかし、液晶についてはここ数年で急激にテレビや携帯機器等を通じて普及が進んでおり、各メーカーもこぞって生産能力増強に注力してきた為、需給バランスが半導体以上に崩れやすい危険性もある。価格についても下落傾向が続いており(図4)、これも量産効果による生産コストの低下が相当寄与していると思われるが、過剰供給要因も含まれている可能性は否定できない。
    各液晶メーカーは現状強気の見通しで在庫についても積み増しを行っているが(図5)、需要の継続性については今後とも注視する必要がある。

図1.輸出数量指数の推移 図2.輸出数量への品目別寄与
図3.電気機器輸出への品目別寄与 図4.液晶パネルとDRAMの価格推移(06年)
図5.液晶素子の出荷在庫ギャップ

(備考)
  1. 財務省「貿易統計」、経済産業省「鉱工業指数」、日経NEEDS商品市況データより作成。
  2. 図1は内閣府季節調整値。
  3. 図2・図3は原数値の後方3ヶ月移動平均ベース。寄与度については品目別通関額ウェイトを使用して作成。
  4. 図4の価格は特約店卸、大口需要家渡しの週次価格。
  5. 図5の液晶出荷在庫ギャップは「アクティブ液晶素子(大型)」「「アクティブ液晶素子(中・小型)」の出荷指数及び在庫指数を合成して作成。
    出荷在庫ギャップは以下の通り算出し、ギャップ=ゼロは在庫循環図における45度線上に相当する。
    出荷在庫ギャップ(%p)=出荷前年同月比(%)−在庫前年同月比(%)


担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 新屋 吉昭 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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