今週の指標 No.750 目次   前へ   次へ 2006年8月28日

企業収益の追い風になるユーロ高

<ポイント>

  1. ユーロの対円相場が、8月22日に149円半ばをつけ、99年のユーロ導入以来の最高値水準で推移している。2005年度と2006年度(8月22日時点まで)の平均レートを比較してみると、ドルは、ほぼ同水準で推移しているのに対し、ユーロは、約5.2%上昇している(図1)。実質実効為替レートも、円安方向で推移しており、このユーロ高が一因となっている(図2)。企業収益を連結ベースでみる場合、為替の影響は、大きく区分すると「国内会社の外貨建て取引」によるものと、「海外子会社の損益を円貨に換算する場合」の2つがある。この2点から、今回のユーロ高の影響をみてみたい。
  2. まず外貨別の取引状況では、通貨別に輸出入の割合をみてみると、ユーロ建ての輸出は、全体の約8〜9%、輸入は約4%を占める。通貨変動が企業収益に与える影響は、通貨ごとに受取から支払を引いたネットの額による。貿易統計より、平成17年のネット額を試算してみると約3.1兆円の輸出超過となった(表1)。つまり日本全体としてみれば、ユーロ高によって輸入価格が上昇するデメリットよりも、輸出価格が上昇するメリットが大きいと言える。次に品目別に欧州向け輸出状況をみてみると、輸出額の高い品目は、輸送用機器、一般機械、電気機器等となっている(図3)。
  3. 海外現地法人の状況をみてみると、経済産業省「海外事業活動基本調査」によると、欧州の現地法人で経常利益の割合が大きな業種は、卸売業(37%)、輸送用機器(15%)、化学(11%)となっている(図4)。欧州における現地法人の経常利益は、7,765億円あり、海外現地法人全体の約13%を占める(図5)。
  4. 以上のことから、輸出取引においては、輸送用機械、一般機械、電気機械(含む精密)等がユーロ高の恩恵が大きいと言える。また、海外子会社の損益を合算する点では、卸売(主に商社)や輸送用機械、化学等がユーロ高による利益のかさ上げ効果が大きいと言える(注1.2)。
    (注1)一般に連結決算を作成する上で、外貨建損益を合算をする際の為替レートは、決算期間の平均レートを使用する。
    (注2)連結決算特有の未実現利益の消去等の関係で、海外子会社の利益がそのまま連結決算に反映される訳ではない。

図1.為替レートの推移 図2.実質実効為替レートの推移
表1.ユーロ建て取引ネット額の試算
(平成17年) 図3.品目別欧州向け輸出
(平成18年上半期)
図4.業種別にみた欧州の現地法人経常利益 図5.地域別にみた海外現地法人の経常利益

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 藤原 健一 直通:03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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