今週の指標 No.749 目次   前へ   次へ 2006年8月21日

アメリカ:インフレ圧力を見極める上で労働コストの動向に注視が必要

<ポイント>

  1. 8月8日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)においては、約2年間続いていたフェデラル・ファンド・レート(FF金利)の誘導目標水準の引き上げを見送り、現状の5.25%に据え置くことが決定された(図1)。FOMCが今回利上げを見送った背景としては、その声明によれば、経済成長が年初の高い成長率から落ち着いた伸びとなってきたことと、インフレ期待の抑制、金融政策の累積的効果などを反映してインフレ圧力がいずれ落ち着く可能性が高いとみていることがあげられる。
  2. しかしながら、FOMCは、それでもなお一部のインフレリスクは残ると判断している。足下におけるコア物価上昇率をみると、7月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.7%増、6月の個人消費支出(PCE)デフレータは同2.4%増といずれも上昇している。連邦準備制度理事会(FRB)は望ましい物価の状態を、コアPCEデフレータの前年比上昇率が+1〜2%の水準としているとされているが、その上限を超えて推移している。(図2)
  3. 今後のインフレリスクを判断する要因の一つとして雇用情勢をみると、非農業部門雇用者数は直近3ヶ月の平均前月差が11.2万人増と、05年の平均前月差である16.5万人増を下回る緩やかな増加ペースとなっているものの、失業率は4.8%(7月)と議会予算局(CBO)が試算する自然失業率である5.2%を下回っており、低水準にある(図3)。さらに、時間当たり賃金は、専門サービスや情報技術などサービス分野を中心に前年比3.8%増(7月)と上昇傾向が続き(図4、5)、単位労働コストの増加は加速する傾向となっていることから(図6)、労働市場は引き続き逼迫しているとみられる。労働コストについてはインフレ圧力を見極めていく上で重要であるため、引き続きその動向を注視する必要がある。

図1 FFレートの誘導目標水準の推移 図2 コア消費者物価指数(CPI)とコア個人消費支出(PCE)デフレータの推移
図3 雇用者数と失業率の推移 図4 時間当たり賃金(民間非農業)
図5 産業別時間当たり賃金 図6 単位労働コスト、労働生産性、時間当たり報酬の推移 

担当:参事官(経済財政分析−海外担当)付 大塚 昌明 直通:03-3581-9536

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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