今週の指標 No.744 目次   前へ   次へ 2006年7月31日

設備投資をめぐる環境について

<ポイント>

  1. 企業の設備投資が増加している。日銀短観の6月調査によると、製造業・非製造業ともに設備投資は2005年度まで3年連続で増加しており、2006年度も増加を計画している(図1)。日銀短観の設備過剰感D.I.をみると、6月調査では全規模全産業で過不足ゼロとなるなど、設備の過剰感はバブル期以来の低さとなっている(図2)。
  2. 設備投資とキャッシュフローを比較すると、バブル期にキャッシュフローを大きく上回って設備投資が増加した後、 1995年頃まで減少し、その後はキャッシュフローに比して設備投資を抑える傾向が強まってきている。直近では2002年度を底にキャッシュフロー、設備投資がともに増加しているが、45度線より下の範囲に収まり、企業がキャッシュフローの範囲内で投資していることが分かる(図3)。有利子負債の動向をみると、設備投資がキャッシュフローを上回っている1990年代前半までは有利子負債が積み上がり、それ以降はキャッシュフローに比して設備投資が小さくなり、借入返済を行うことで有利子負債が減少している(図4)。
  3. 製造業の生産能力でみると、生産能力が2000年以降低下を続けている一方、稼働率は2002年以降高まっている。企業の設備投資が未だ更新維持の範囲に留められ生産能力の拡大にまでは至っておらず、拡大する需要に対して稼働率の向上で対応していることが示唆される(図5)。(注)
  4. 以上、現時点までの設備過剰感、手元キャッシュフロー、および生産能力等の面からみれば、2006年度の設備投資計画が実現しても直ちに過剰設備をもたらすとまでは言えない状況と考えられる。
    (注)設備投資の増加は各企業の期待成長率の高さに依存する。「平成18年度年次経済財政報告」によれば、設備投資から企業の期待成長率を推計すると1%台後半程度であることが示されており、また「平成18年企業行動に関するアンケート調査報告書」によれば、企業は今後約1.9%の実質経済成長を見込んでいることから、設備投資と期待成長率の関係は、ほぼ整合的であると考えられる。詳しくは「平成18年度年次経済財政報告」p18を参照。

設備投資の増加率
設備過剰感の推移
設備投資とキャッシュフロー 有利子負債の推移
稼働率・能力指数の推移

(備考)
1.図1、2は日本銀行「短観」による。値は全て全産業。図1の2006年度計画は6月調査時点。図2の06年第3四半期は先行き見込値。2004年3月調査から調査方法が変更されているため、グラフが不連続になっている。
2.図3、4は財務省「法人企業統計季報」による。値は全て全産業。設備投資はソフトウェアを除く。設備投資、キャッシュフローともに後方四半期平均値。有利子負債は年度末値。
キャッシュフロー = 経常利益×0.5 + 減価償却費。
有利子負債 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債。
3.図5は経済産業省「鉱工業生産」による。稼働率は季節調整値、3ヶ月移動平均。生産能力は原数値。シャドー部は景気後退期。

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 菊田 逸平 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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