今週の指標 No.741 目次   前へ   次へ 2006年7月24日

所得のジニ係数にみる地域の経済

<ポイント>

    内閣府「社会意識に関する世論調査」では、現在の日本に対する意識調査を行っており、それによると「外交」、「医療・福祉」、「食糧」、「国際化」などの分野で、悪い方向に向かっていると思う割合の上昇がみられる(05年2月→06年2月)。その中で「地域格差」については、9.7%から15.0%へと上昇している。以下では、その経済的側面について、一般的な指標であるジニ係数を用いて、その背景を検討する。
  1. マクロでみた所得格差は、月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料において示されているとおり、緩やかな拡大傾向にある。1人当たり県民所得及び世帯収入の地域間格差をジニ係数でみると、90年代以降ほぼ横ばいで推移しており、格差が拡大しているとは一概には言えない(図1)。
  2. マクロの所得格差は、内閣府の資料によると、高齢者世帯の増加によってデータ上拡大していると説明されている。そこで、地域別に95→00年の高齢者世帯比率の推移をみると、全地域においてほぼ同じ割合で上昇しており、このことが地域間格差を大きく変化させていない一因と考えられる(図2、図3)。
  3. 一方、「格差」は地域間のみならず、地域内にも存在する。世帯収入の格差を都道府県別にみると、地域によってばらつきがみられる(図4)。これには、県民雇用者(県内に居住する雇用者。生産活動地域の県内外は問わない)の割合がひとつの要因として影響しているものと考えられる(図5)。
  4. 以上の分析から示されることは、地域格差の意識は、様々な要因が作用することから、所得のジニ係数だけで測れるものではないことに注意を要するが、働きやすい環境を整えていくこと(たとえば、既に自治体等で行われている各種人材育成事業の継続や企業誘致等による雇用の場の創出など)が、ひいては、都道府県別のジニ係数を低下させる要素のひとつになりうると考えられることである。

【図1】1人当たり県民所得及び世帯収入のジニ係数
【図2】世帯主年齢階級別 世帯収入のジニ係数(99年) 【図3】高齢者世帯比率(95→00年)
【図4】都道府県別 世帯収入のジニ係数(99年)
【図5】世帯収入のジニ係数と県民雇用者比率の関係
(点は都道府県)
備考

担当:参事官(経済財政分析-地域担当)付 井戸 孝明 直通:03-3581-0818

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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